2025-07-31 コメント投稿する ▼
北海道で宿泊税新設、俱知安町は税率引き上げへ 全国35自治体に拡大も「地元の負担」懸念
北海道が宿泊税導入へ 宿泊客に100~500円課税
村上誠一郎総務相は7月31日、北海道による宿泊税の新設に同意したと発表した。宿泊税は、道内のホテルや旅館などの利用者に対し1人1泊あたり100~500円を徴収するもので、2026年4月からの導入を予定している。観光振興や受け入れ体制の充実を目的とし、北海道全体で徴収を行う形となる。
これにより、総務相が宿泊税の導入を認めた自治体は35に達した。北海道以外では、東京都(2002年導入)を皮切りに、大阪府、京都市、金沢市、福岡市などがすでに導入済みであり、現在、広島県や札幌市を含む22自治体が導入に向けて準備を進めている。
俱知安町は定率制で税率引き上げ 全国唯一の方式
今回、北海道に加えて、すでに宿泊税を導入している俱知安町の税率引き上げにも総務省が同意した。俱知安町では全国で唯一、宿泊料金に応じて課税額が変わる「定率制」を採用しており、従来の宿泊料金2%から3%へ引き上げられることになる。
俱知安町はニセコ地域を中心に国内外の観光客で賑わう国際的なスキーリゾート地として知られており、観光インフラへの負荷やごみ処理、道路整備などのコストが増加傾向にある。町では、宿泊税収をこれらの対応に充てる方針だ。
オーバーツーリズムの影響も深刻 住民の実感は複雑
一方で、インバウンド需要の増加に伴う「オーバーツーリズム」が地域住民にとって大きな負担となっている現実もある。特にニセコなどの人気観光地では、住宅地の渋滞や生活インフラの圧迫、ごみ問題、騒音といった課題が慢性化しており、住民の生活環境が脅かされているとの指摘がある。
「観光で地域が潤う」と言われる一方、実際には地域経済に十分な利益が循環していないと感じている住民も多く、宿泊税によって得られる財源がどのように地域に還元されるかが、今後の信頼構築のカギとなる。
市民からは「負担は妥当」「でも恩恵は少ない」の声
SNS上では、宿泊税について賛否が分かれる中、旅行者や地元住民の間から次のような意見が寄せられている。
「旅行先でちょっと課税されるくらいなら納得できる」
「観光地の住民が損してる構図をどうにかしてほしい」
「観光税の収入がどこに使われてるのか、もっと透明にして」
「観光客にマナーを徹底させる仕組みも必要」
「税だけ取られて地元には渋滞と騒音だけ残るのでは?」
インバウンド客の急増がもたらす「量の負担」に対して、地元が「質の向上」や「還元」をどこまで実感できるか――制度設計の精度が問われている。
観光政策と地域負担の均衡 説明責任がカギに
観光立国を掲げる日本にとって、宿泊税は観光財源の確保とインフラ維持の手段として有効な制度だ。しかし、観光による経済効果が局所的にとどまり、住民にとっては負担の方が大きく見えてしまえば、制度への反発も高まる可能性がある。
自治体には、宿泊税を「地域にとって意味のある負担」とするために、その使途を明確にし、住民への説明責任を果たすことが求められている。今後は、地域と観光客双方にとって持続可能な形での制度運用が試されることになる。