2025-11-17 コメント投稿する ▼
小野寺税調会長が示す新方針 年収の壁は物価連動・新税創設否定で責任ある積極財政を推進
小野寺氏は、所得税の非課税枠である年収の壁について、物価変動への対応として消費者物価指数に連動させる仕組みが自然だとの認識を示しました。 高市政権が掲げる政策推進の財源確保について、小野寺氏は新税を創設することは「考えていない」と断言しました。 小野寺氏は高市首相が掲げる税制調査会改革についても言及しました。
消費者物価連動で年収の壁を適正化
小野寺氏は、所得税の非課税枠である年収の壁について、物価変動への対応として消費者物価指数に連動させる仕組みが自然だとの認識を示しました。年収の壁は2025年度税制改正で103万円から160万円まで引き上げられましたが、今後は物価上昇に合わせて調整していく考えです。
この提案は、物価高が継続する中で実質的な税負担軽減を維持しようとする狙いがあります。固定的な金額設定では、時間の経過とともに物価上昇により実質的な非課税枠が縮小してしまうため、指数連動による自動調整が合理的だと判断したものです。
2026年度税制改正に向けては、178万円までの引き上げを主張する国民民主党などとの議論を深める方針も表明しています。これは連立政権の枠組み拡大を視野に入れた野党との協調姿勢の現れでもあります。
「年収の壁がまた上がるなら働く時間を増やせるかも」
「物価連動は理にかなってるけど制度が複雑になりそう」
「178万円まで上げてくれるなら国民民主を応援したい」
「毎年変わったら計算が面倒になる」
「物価高対策としては当然の措置だと思う」
環境性能割廃止は慎重姿勢
自動車業界や経済産業省が強く要望している環境性能割の廃止については、小野寺氏は「何らかの方向性は見いだしたい」と述べるにとどめ、慎重な姿勢を示しました。環境性能割は2019年10月に自動車取得税の代替として導入された制度で、車の環境性能に応じて0〜3%の税率が課されています。
自動車業界では、電動車普及の阻害要因として環境性能割の撤廃を求める声が強まっています。しかし税収確保の観点から、安易な廃止には慎重論も根強く、小野寺氏の発言は業界の期待に配慮しつつも財政規律を重視する姿勢を反映しています。
一方で、これまで議論されてきた走行距離課税の導入については「検討していない」と明言し、自動車ユーザーの懸念を払拭しました。走行距離課税は車の利用距離に応じて課税する制度ですが、プライバシー問題や地方在住者への過度な負担などが指摘されており、現実的ではないとの判断が働いたとみられます。
新税創設を否定し既存財源活用へ
高市政権が掲げる政策推進の財源確保について、小野寺氏は新税を創設することは「考えていない」と断言しました。この姿勢は、国民負担増を避けながら政策財源を確保する方針を明確にしたものです。
2026年度税制改正で注目される主要課題については、ガソリン税の暫定税率廃止に伴う財源確保策、防衛費確保へ向けた所得税引き上げ時期、飲食料品の消費税2年間免税の具体策などを挙げ、今後議論するとしました。これらはいずれも高市政権の重要政策と直結する税制課題です。
政策決定プロセスの民主化
小野寺氏は高市首相が掲げる税制調査会改革についても言及しました。従来の「インナー」と呼ばれる限られた議員による税制決定体制から、国民に近い感覚での議論を重視する体制への転換を表明しています。
「増税ありきではなく、国民に近い感覚で税制のあるべき姿を議論していく」との発言は、財務省主導の税制運営から政治主導への転換を目指す高市政権の方針を反映しています。これまでの税制調査会では財務省出身者や税の専門家が中心的役割を担っていましたが、今後はより幅広い視点からの政策議論を目指すとしています。
小野寺氏の税調会長就任は、高市首相が従来のインナー制度を見直し、政調会長経験者という政策調整能力の高い人材を起用した人事です。少数与党の政治状況下で野党各党との協議を重ねてきた経験を活かし、国民民主党など他党との政策協議でも中心的役割が期待されています。