2025-06-14 コメント投稿する ▼
森山幹事長「赤字国債出さず」強調も…2万円給付は応急処置に過ぎない
「財政規律守る」と強調 森山氏が給付方針に自信
自民党の森山裕幹事長は6月14日、鹿児島市で開かれた党会合において、石破茂首相が打ち出した全国民への一律2万円給付について、「財源は赤字国債ではなく、2024年度の税収増でまかなう」と明言した。「予算として3兆円半ばかかるが、税収の上振れが見込まれる。その範囲内で十分対応できる」と自信をにじませた。
さらに、「赤字国債を発行することはない」と断言。給付方針に対する批判を意識してか、政府の財政運営に対する信頼を保つ姿勢を強調した形だ。財政健全化を重視する党内保守派への配慮、そして夏に向けた選挙戦略の一環とも見られる。
森山氏はまた、2万円給付の根拠について「1年間の食費にかかる消費税が2万円程度。そこを還元する意味がある」と説明。さらに子育て世帯への加算措置に触れ、「育ち盛りの子どもたちに、しっかりした食事をとってもらいたいという首相の思いがある」と語った。
「ばらまき批判」への予防線か 減税論には触れず
森山氏の発言からは、財源論において「赤字国債ではない」という説明に重きを置く姿勢がうかがえる。これは一種の“ばらまき批判”を避けるための予防線ともとれ、財政規律を守る自民党というイメージを維持する意図が感じられる。
一方で、根本的な税負担の軽減を求める声、特に所得税や消費税の減税に関しては言及がなかった。多くの国民が「物価高騰対策として給付ではなく減税を」と考えている中、給付金という形での対応に固執する姿勢は、必ずしも広く支持を得られているとは言い難い。
森山氏が強調する「財源は税収増」という方針も、今後の経済環境によっては不安定さをはらむ。景気の鈍化や企業収益の減少があれば、上振れしたはずの税収はすぐに目減りする。そのリスクを無視して「財源はある」と断言する姿勢には、やや危うさも感じられる。
自民党内の「財政健全派」としての存在感
森山幹事長は、かねてから党内でも財政再建重視の立場で知られており、「配るべきときに配るが、借金は増やさない」が持論だ。今回の2万円給付も、首相の方針を支持しつつ、いかに財政規律を守るかという点に腐心している様子がうかがえる。
だが、消費者の実感や中小企業の実態を見ると、一時金でしのげるような局面ではなくなってきているのも現実だ。石破首相が選挙に向けて支持を広げたいとの意図を込めた政策であるならば、森山氏のような財政論の“防波堤”がどこまで機能するかが問われる。
ネット上では森山氏への評価も分かれる
森山氏の財源論や姿勢に対して、SNS上でも賛否が入り混じる反応が出ている。
「赤字国債出さないのは評価。でも、やっぱり減税の方が筋通ってる」
「森山さんの言ってること正論だけど、それで国民の生活は本当に楽になるのか」
「税収増をそんな簡単に当てにするのって危うくない?」
「首相の思いとかじゃなくて、制度で支える話じゃないの?」
「選挙前に給付、しかも“借金じゃないから大丈夫”って言い訳くさい」
給付に反対とは言わないまでも、持続的な生活支援や成長戦略を求める声が根強い。財源や政策の透明性をより明確に示さなければ、いくら「赤字国債を出さない」と訴えても、信頼を得るのは難しいだろう。
給付より減税を──根本的改革なき“応急処置”の限界
森山氏が守ろうとする財政の健全性は評価に値するが、それだけで国民の信頼が得られる時代ではない。一時的な給付でしのぐよりも、消費税の減税、インボイス制度の廃止、そして中小企業支援の税制改革など、構造的な対策が今こそ必要だ。
「国民の実感なき好景気」ではなく、「手元に残る可処分所得の増加」を実現する政策にこそ、今ある税収増を使うべきだ。政治が「借金を出さない」ことにこだわる一方で、「減税しない」選択を続けるなら、それは別の意味での“怠慢”である。