2025-11-28 コメント: 1件 ▼
自民が解散直前に森山裕幹事長へ1億円超支出 使途不明の政活費問題
総務省が2025年11月28日に公開した2024年分の政治資金収支報告書で、与党の自由民主党(以下、自民党)が、幹部8人に対して合計4億7830万円の「政策活動費」を支出していたことが明らかになった。 この「政策活動費」は個別の使途を公開する義務がなく、受け取った政治家がどう使ったかを明らかにする必要はない。 報告書が単に「政策活動費」と記すだけでは、国民が納得できる判断はできない。
自民党が明かした「使途非公開」の資金支出
総務省が2025年11月28日に公開した2024年分の政治資金収支報告書で、与党の自由民主党(以下、自民党)が、幹部8人に対して合計4億7830万円の「政策活動費」を支出していたことが明らかになった。なかでも、昨年10月の衆議院解散直前には、当時幹事長だった森山裕氏に対し、1億3000万円が二回に分けて支払われていた。
この「政策活動費」は個別の使途を公開する義務がなく、受け取った政治家がどう使ったかを明らかにする必要はない。つまり、実際に何に充てられたかは、支出の記録がある以外、公には確認できない。こうしたしくみが、古くから「裏金の温床」として問題視されてきた。
解散直前の巨額支出——「選挙用」の疑いは払えない
特に注目されるのが、衆院解散の2日、そして前日の8日に行われた大口支出だ。このタイミングは、まさに総選挙へ向けた政治資金の動きとして、通常よりも警戒すべき時期だ。支出額の大きさと時期を考えれば、「選挙運動資金への流用では」という国民の疑念を拭うことは困難だ。
当時の党総裁だった石破茂氏は選挙での使用を否定していたが、少なくともこの資金が「合法な支出」であり、「選挙用ではない」ことを示す客観的な証拠は提示されていない。報告書が単に「政策活動費」と記すだけでは、国民が納得できる判断はできない。
制度改革で「政策活動費」廃止へ——だが曖昧さは残る
こうした問題点を受け、2024年12月に成立した改正法により、「政策活動費」は2026年1月から全面廃止されることが決まっている。制度の見直しは一定の前進だといえる。
だが、廃止は「方法」の問題を整理するに過ぎない。過去の支出に対する説明責任が党側に残されたままである以上、公開義務がない現制度では、不当性を明らかにする手立ては限られている。
抜本的な透明性がなければ政治不信は続く
国民が見るべきは、たとえ制度が廃止されても、「何に」「誰に」「いくら」「いつ」政治資金が動いていたか。そしてその判断に耐えうる資料と説明責任だ。
今回のように解散直前に多額の「使途不明金」が動いていた事実は、自民党が長年維持してきた資金慣行の問題点を浮き彫りにする。制度変更は一歩だが、それだけでは不十分だ。今後、過去分の説明責任を徹底させる手続きが欠かせない。