2025-09-25 コメント投稿する ▼
森山裕を前面に据える給付付き税額控除議論 与党の“合意先行”姿勢が際立つ
今回の合意も「制度設計を議論する」こと自体にはなっていますが、具体案や実施時期までは踏み込んでいません。 しかし、制度設計の細部には多くの難問があります。 制度導入を実効的なものとするには、与党側が議論を終える“終着駅”を明示し、責任をもって実行フェーズに移る必要があります。
森山裕を通じて見える与党の政策対応の遅さ
国会内で9月25日、自民党幹事長の森山裕、公明党幹事長の西田実仁、立憲民主党幹事長の安住淳が会談し、「給付付き税額控除」の制度設計を具体化する協議体を設置することで合意しました。30日から政調会長レベルで議論を始め、海外制度の実態把握も始める方針です。
自民党内部では、森山幹事長がこの協議の“表の顔”を務めています。ただし、主導権を握っているわけではなく、あくまで合意プロセスの枠組み調整者と見るべきです。今回の合意も「制度設計を議論する」こと自体にはなっていますが、具体案や実施時期までは踏み込んでいません。
この姿勢は「議論を重ねて合意を後回しにする」与党の典型パターンを象徴しているようにも映ります。国民には「合意できなければ前に進めないのか」「本当に実行する気があるのか」という疑念が広がっています。
制度設計に向けた論点と時間稼ぎのリスク
給付付き税額控除は、控除と給付を組み合わせた制度で、中低所得層に支援を届けやすいという長所があります。会談では、所得水準に応じた給付額と税の調整という基本構造について確認がなされました。
しかし、制度設計の細部には多くの難問があります。たとえば、
* 所得把握の精度と調整手法(副業や金融所得をどう扱うか)
* 生活保護など既存制度との整合性
* 給付と控除をどの行政部門が担うか
* 不正受給防止と手続きの簡便性
これらを詰めるには時間がかかります。与党側は「議論すべきことが山積している」といった言い回しを繰り返すことで、実行を先送りにする構えにも見えます。
実際、今回の協議も「9月30日から政調会長で議論開始」という段取りに終始しています。制度導入時期や財源確保の具体策は未提示です。与党はまず枠組みだけを決めたい意図が透けます。
その間、現場や被支援層には不透明感が募ります。多くの政策で見られてきた「議論ばかりで実行されない」構図が、今回も繰り返されるのではないかという懸念が出ています。
森山裕という顔と与党の責任
森山裕という顔が前面に立つことで、与党は外向けに「動いている」印象を作れます。しかし、実態は慎重な調整・合意優先の姿勢です。制度の核心を切るよりも、その枠組みを議論するフェーズに長く留まる可能性があります。
森山幹事長は協議設置合意の段階で、「できるだけ早くスタートした方がいい」と述べたとの報道もあります。 ただし、具体的なスケジュール感やマイルストーンは示されていません。
このような「合意先行」のやり方は、政治的な調整を先に済ませるには有利ですが、現実政策の展開を遅らせる弱点も併せ持ちます。国民期待とのギャップが広がれば、批判は強まりかねません。
献金改革と制度継承を巡る遅延リスク
同日に、3党は企業・団体献金の見直しも議論対象としました。政治資金報告のオンライン化・データベース義務化、さらに国会に設置される第三者監視機関の制度設計も協議対象とすることで一致。
しかし、献金制度改革では意見が割れています。立憲側は全面禁止論を主張し、自民側は存続を主張しながら透明性を重視する立場を崩していません。合意形成は容易ではありません。
森山裕が象徴的に関わる政策領域は広いですが、その間にも議論停滞、合意優先姿勢による時間逸失が現実の障害になり得ます。
制度導入を実効的なものとするには、与党側が議論を終える“終着駅”を明示し、責任をもって実行フェーズに移る必要があります。総裁交代や政権変化があっても、制度が凍結されないような設計と合意が不可欠です。安住淳幹事長は新総裁も協議を継承するよう要請していますが、与党側が議論を引き延ばす構えを崩さなければ、制度の成立自体が危ぶまれることになります。