2025-05-21 コメント投稿する ▼
富士山冬季登山の救助、有料化へ検討 山梨県が再発防止へ動き出す
冬の富士登山、繰り返される救助要請に歯止めを 山梨県が有料化を検討
冬季閉山中にもかかわらず富士山での遭難が相次ぐなか、山梨県は防災ヘリによる救助を有料にする方針を検討し始めた。これまで税金で賄われてきた救助活動だが、無謀な登山を抑止するためには、遭難者本人に費用を負担させる仕組みが必要ではないかという声が高まっている。
再び登った末の遭難 「非常識」との声も
きっかけとなったのは、今年4月に起きたある外国人大学生の一件だ。冬の富士山で体調を崩し、山梨県の防災ヘリに救助されたその学生は、数日後に置き忘れたスマートフォンを取りに再入山。結果、再び救助を要請することになり、悪天候の中でヘリが使えず、静岡県警などが山中を徒歩で登り搬送した。
こうした行動に、富士山を抱える山梨県や静岡県の自治体首長からは厳しい批判が相次いだ。「税金で何度も救助するのは限界」「登山者のモラルに任せるだけでは不十分」との意見が寄せられ、救助費用の自己負担を求める機運が一気に高まった。
有料化は抑止力になるか
実際に救助の有料化に踏み切っている例もある。埼玉県では防災ヘリの利用に対し、5分ごとに8,000円の料金を設定している。山梨県もこうした先行事例を参考に制度設計を進める方針だが、富士山は静岡県にもまたがるため、関係自治体との連携や調整は避けられない。
また、富士山以外の山岳地帯でも同様の措置を講じるかどうかや、そもそも「有料化」でどこまで登山者を思いとどまらせられるのかという根本的な課題も残る。
「母国に帰れば回収不能」 現実的な問題も
とはいえ、有料化には課題もある。特に外国人登山者が遭難した場合、救助後に帰国してしまえば請求の回収は困難になる。支払いを求めても応じてもらえなければ、結果的にまた税金で穴埋めすることになりかねない。
このため、登山届の提出を義務化したり、救助費用を補償する保険の加入を登山者に求めるといった仕組みづくりが必要だという指摘もある。事前の備えを強化しなければ、制度だけが空回りするリスクもある。
ネットでも賛否、議論は白熱
SNS上では、今回の有料化検討をめぐってさまざまな意見が飛び交っている。
「さすがに2回も救助されるのは税金の無駄。自己負担にすべき」
「命を救う活動に料金が発生するのは悲しいけど、現実問題として仕方ない」
「保険加入を義務化するくらいでちょうどいいと思う」
「外国人の救助費用が泣き寝入りになるなら意味がない」
「そもそも閉山中は立入禁止にすべきでは?」
今後、山梨県は条例化も視野に検討を進めており、早ければ2025年秋にも県議会での審議が始まる見通しだ。登山の自由と公共負担のバランスをどう取るか。富士山の冬山対策は新たな局面を迎えている。