2025-06-24 コメント投稿する ▼
公約神奈川県が多文化小児医療に本格対応 外国人患者への支援講座に注目集まる
外国人対応に揺れる小児医療現場 神奈川県が多文化対応講座を開催へ
神奈川県がこの7月、小児科医療現場に向けた新たな挑戦に踏み出す。言語や文化的背景の異なる外国人の子どもや保護者への医療対応をテーマとした講座『小児科向け 多文化対応力向上講座』が、かながわ国際交流財団の主催で7月5日に開催される。
同財団によれば、神奈川県内で「外国につながる子ども」——つまり、両親または片方の親が外国籍の家庭に生まれた子どもの割合はすでに6%を超えている。近年では、出生後に日本へ移住する家庭も増え、地域の学校や医療機関には多文化的背景を持つ子どもたちが急増しているという。
こうした中で、小児科医療の現場では対応に苦慮する声が増している。診察時に言葉が通じない、文化的な価値観の違いから意思疎通が難しいなど、現場には戸惑いが広がっているのが実情だ。
「英語ができるスタッフも限られているし、翻訳アプリではニュアンスが伝わらない」
「アレルギーや予防接種の文化が違うと説明が本当に難しい」
「制度の違いに不安を抱える親御さんも多い。通訳だけでは解決できないこともある」
「対応力向上」を目指す実践的講座
今回の講座では、国際医療の第一線で活躍する専門家や、多国籍住民が多い川崎地域の小児科医が登壇し、日々の実践を通じて得た「現場で役立つヒント」が共有される予定だ。対象は、小児科の医師や看護師、受付などの事務職員まで幅広く、すでに外国人患者の受け入れを行っている病院だけでなく、これから対応を始めようとする施設も歓迎されている。
参加は無料で、定員は30名。実際の事例を通して、単なるマニュアルではなく「どう対応すればよいかを皆で考える」ことが重視されるという。講師には、日本WHO協会理事長である小児科医や、ナビタスクリニック川崎の現役小児科医が名を連ね、現場のリアルな声と経験を届ける。
このような試みは、単なる「多言語対応」にとどまらず、文化的背景を踏まえた“心の通った医療”を目指す第一歩とも言える。
「この取り組み、全国に広げてほしい。地方だともっと情報が少ない」
「通訳者に頼るだけじゃダメ。医療従事者が学ぶ姿勢を持つことが大事」
地域医療の課題としての「多文化」
外国人患者の増加は、神奈川に限らず全国の都市部や工業地域、さらには農村部でも共通する傾向となりつつある。とくに少子化で地域の子どもの数が減少するなか、外国にルーツを持つ子どもたちが日本社会の新しい担い手となるケースも増えている。
しかし医療制度、予防接種、医薬品に関する認識など、文化や制度の違いは現場での混乱を招く一因となっている。多言語パンフレットや通訳体制は整備されつつあるものの、依然として現場の人材不足や経験不足が課題だ。
このような背景を踏まえると、今回の講座は「単なる知識習得」ではなく、地域医療全体の多文化共生力を高める取り組みとして期待される。現場からのボトムアップの姿勢が、持続可能な多文化社会の実現には不可欠だ。
「外国人の子どもが増えているのに、制度が追いついていないのが現実」
医療現場の声を政策につなげるには
一方で、このような講座や現場の努力が、行政施策に反映されるかどうかはまた別の話だ。多文化共生における「支援」は、翻訳ツールや説明書だけで完結するものではない。真に必要なのは、現場の声が政策に反映され、医療制度や教育制度の側でも対応が進むことだ。
医療の現場が疲弊しないよう、国や自治体による支援体制の整備は急務である。多文化対応が一部の医療機関の「善意」に頼るような状況では、持続的な医療サービスの提供は困難になる。特に、患者数が少ないために対応が遅れがちな地方医療現場でも、今回のような情報共有と意識改革の機会が求められている。
将来的には、小児科に限らずすべての診療科で、多文化対応を前提とした医療人材の育成が当たり前になる時代が来るだろう。その第一歩として、神奈川県の今回の講座が果たす役割は決して小さくない。
この投稿は黒岩祐治の公約「高齢者・女性の雇用機会の拡大、外国人労働者と共に生きる 社会の構築」に関連する活動情報です。この公約は点の得点で、公約偏差値、達成率は0%と評価されています。