2025-06-11 コメント: 1件 ▼
神奈川県、6月補正で高校授業料支援に92億円 物価高対策や産業振興にも重点配分
神奈川県が6月補正予算案を発表 高校授業料支援に92億円、物価高対応も強化
神奈川県は6月11日、令和7年度一般会計の補正予算案を公表し、145億4千万円の増額を行う方針を明らかにした。補正後の一般会計総額は2兆2303億6千万円に達し、高校授業料の支援拡充や物価高騰対策、県の産業振興策などに重点が置かれている。
中でも注目を集めているのが、所得制限を受けている世帯への「臨時支援金」の支給措置だ。これまで対象外とされてきた中・高所得層にも支援を広げる内容となっており、実質的な“高校無償化の拡大”とも受け取れる。一方で、県の財政負担や政策の公平性については議論の余地も残されている。
“高校授業料無償化”の実質的拡大 年収910万円以上の世帯にも臨時支援
補正予算案の中で最大の支出となるのは、高校生への教育費支援だ。県は、「高等学校等就学支援金制度」の所得制限を受けて支援の対象外となっている世帯に対し、臨時的な授業料支援を実施する。対象は年収約910万円以上の家庭で、予算規模は92億8644万円にのぼる。
この制度は、政府が推進する「高校無償化」の枠組みに先行対応するものとされており、家庭の経済的負担を軽減する狙いがある。神奈川県としては、少子化が進む中、進学における経済格差の解消を進める方針を明確にした格好だ。
ただし、所得制限の緩和が進めば進むほど、「本当に支援を必要とする層への予算が薄まるのではないか」という懸念も一部にはある。
「年収900万で支援? さすがに過剰じゃないか」
「うちはもっと下の所得で支援打ち切られてる。線引きが不公平」
「高等教育の無償化に前向きなのは歓迎だけど、財源の説明が不十分」
「どこまで“無償化”するのか曖昧。支援より減税で公平に対応すべき」
「教育は重要だが、税金でまかなうなら所得制限を厳格にしてほしい」
物価高騰対策にも22億円 LPガス料金支援を実施
エネルギー価格の上昇が家計を直撃する中、県は物価高騰対策としてLPガス利用家庭への支援に22億7304万円を計上。これにより、県内の中山間地域や都市ガス未整備地域など、LPガスに依存する家庭への負担軽減を図る。
電気料金支援に比べて、これまで目立った支援のなかったLPガスに着目したことは評価されるものの、支援が一時的なものであることや、将来的な制度設計の不透明さに対する指摘も出ている。
「LPガス支援はありがたい。でも冬場だけじゃなくて通年で考えてほしい」
「都市ガスより高いLPガスへの対策、ようやく来たかという感じ」
「また一時的なバラマキ? 根本対策を」
「そもそも支援するより、エネルギーコスト下げる政策が必要なのでは」
「未病産業」などへの海外展開支援にも予算
注目度はやや低いが、神奈川県が力を入れる「未病産業」やヘルスケア分野の海外展開支援にも9290万円が計上された。これは、県が掲げる健康寿命延伸のモデル事業の一環で、産業と医療・介護政策の融合を目指すものだ。
ただし、費用対効果の評価が難しい分野であるため、成果の「見える化」が求められる。
増額予算の背景にある課題と展望
全体として、今回の補正予算案は「家計支援」と「将来投資」を両立しようとする姿勢が見えるが、政策の実効性や財政の持続性に課題も残る。
特に教育支援については、無償化の恩恵が広く行き渡る一方で、財政の圧迫や“線引き”の難しさがつきまとう。また、物価高対策としての一時的支援が繰り返されることで、「恒久的な解決策が見えない」との指摘も避けられない。
県の取り組みが真に県民の暮らしを支えるものとなるかは、これらの予算がどれだけ実効性を伴うかにかかっている。