2025-11-02 コメント投稿する ▼
橋下徹氏が維新・藤田共同代表の公金還流を批判、「身内企業経由で金が見えなくなる」と指摘
共産党機関誌「しんぶん赤旗」が報じた疑惑に対し、橋下氏は「こんな公金の取り扱いをしていたら国民はついてこないと思います」とピシャリと述べ、政治資金の透明性と「身を切る改革」のスローガンとの矛盾を指摘しました。 橋下氏は「ただね、政治家の政治と金の問題が尽きないのは、政治家たちが公金を扱うことにピリピリ感がないんですよ。
元大阪市長で弁護士の橋下徹氏が2025年11月2日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演し、日本維新の会の藤田文武共同代表の「公金還流疑惑」について、強い言葉で批判しました。共産党機関誌「しんぶん赤旗」が報じた疑惑に対し、橋下氏は「こんな公金の取り扱いをしていたら国民はついてこないと思います」とピシャリと述べ、政治資金の透明性と「身を切る改革」のスローガンとの矛盾を指摘しました。
公金還流疑惑の概要
赤旗日曜版(11月2日号)は、藤田共同代表が2017年6月から2024年11月にかけて、自身の公設第1秘書が代表を務める会社「株式会社リ・コネクト」に計約2100万円を支出し、そのうち約1965万円が政党交付金などの公金だったと報道しました。問題とされているのは、同社が秘書本人に年720万円の報酬を支払っていた構図です。さらに同社は印刷機を保有しておらず、外部の印刷会社への再委託が常態化していたとも指摘されています。
藤田共同代表はこの疑惑に対し、自身のX(旧ツイッター)で「すべて実態のある正当な取引であり、専門家にも相談の上で適法に行っているものです」と反論し、「悪意のある税金還流のような恣意的な記事」と批判しました。ただし公設秘書の兼職は原則禁止であり、認める場合は国会への「兼職届」提出が義務付けられています。
「違法ではない」けれども「問題がある」
番組内で梅津弥英子アナが「藤田さんは正当な取引であり適法に行っていると反論しているわけですが、橋下さん、これ違法ではないということでいいですか?」と質問したのに対し、橋下氏は「違法かどうかと言われたら、違法ではないと思います」と答えました。
しかし橋下氏は続けて、違法性の有無と問題の有無は別であるという重要な指摘を示しました。橋下氏は「ただね、政治家の政治と金の問題が尽きないのは、政治家たちが公金を扱うことにピリピリ感がないんですよ。緩いんですよ」と述べ、政治家全体の意識の問題を提起しました。
自治体首長との対比で示す「二重基準」
橋下氏が強調したのは、地方自治体の首長と国会議員の間にある公金取り扱いの基準の差です。橋下氏は「例えば知事、市長が公金として印刷業務を発注するときに、身内の会社にぽんと発注なんかできません。入札にかけるとか。役所だから」と述べ、自治体では考えられない取り扱いが国会議員には容認されている実態を指摘しました。
橋下氏自身も「確かに国会議員がビラ発注のときに入札なんかかけません。僕もかけていません」と認めながらも、「だけど身内の会社入れません。直接、業者にお金払いますよ。なんで身内の会社入れなきゃいけないのか」と疑問を投げかけました。
このやり取りから明らかなのは、違法性がなくても、透明性と倫理性を欠く行為は避けるべきという橋下氏の考え方です。国会議員であっても、政党資金を扱う際には最高水準の透明性が求められるべきだという主張です。
身内企業経由の不透明性の問題
橋下氏が最も強く指摘したのが、身内企業を経由することによる情報隠蔽の可能性です。橋下氏は「身内の企業を入れることによって、政治資金収支報告書の対象外になる。そうすると、お金を入れ込んで、どれだけが利益で、だれがお金を持っているかなんて分からない」と述べました。
政治資金収支報告書に記載される取引と、身内企業を経由した場合では、透明性の水準が大きく異なるという指摘です。直接業者に発注すれば、収支報告書にも明確に記載され、取引内容も明白です。しかし身内企業を経由すると、秘書個人への報酬支払いなど、実質的な金銭流は隠蔽される可能性があります。
「身内に利益がなければ、なぜ直接業者に頼まないのか」
「身内企業を入れることで金の流れが見えなくなる」
「政治家が公金を自分のお金だと思っているから問題が尽きない」
「役所なら絶対にこんなことはできない。国会議員だから許されるのか」
「政治改革を掲げる維新だからこそ、自分たちが率先して厳しくするべき」
「利益がないなら直接発注すればいい」の論理
藤田共同代表は疑惑への反論で「利益はない」と主張しています。しかし橋下氏はこの説明に強く異議を唱えます。橋下氏は「身内の企業が利益を得ていたら大問題。藤田さんは利益はないって言うんですよ。利益がないんだったら業者に直接払わないのか」と述べました。
この論点は非常に重要です。もし企業に利益が発生していれば、それは公金から秘書個人への利益供与となります。利益がないというなら、そもそも身内企業を経由する理由がありません。直接業者に支払えば、より透明性が高まるはずです。
橋下氏のこの指摘は、どちらの説明を選んでも問題が生じる矛盾を浮き彫りにしています。利益ありなら不正受給、利益なしなら経由の必要性がない、という論理です。
「身を切る改革」とのスローガンの矛盾
維新の会は「身を切る改革」を旗印に、国会議員の歳費3割カットや議員定数削減を公約としてきました。党の綱領には「政治家を身分から職業へ」という理念が掲げられています。しかし今回の疑惑は、そのスローガンと現実のギャップを露呈させています。
党首級の幹部が身内企業を経由した公金の流れを作っていては、「身を切る改革」の説得力は失われます。国民に負担を求める政党であればこそ、政治資金の透明性と潔さをより厳格に要求される立場にあります。
政治資金の透明性の根本的問題
橋下氏が指摘する課題は、藤田共同代表一人の問題ではなく、日本の政治資金制度全体の問題を示唆しています。政党交付金や政治献金は、実質的には国民の税金であり、公金に類するものです。にもかかわらず、自治体の入札制度のような厳格な基準が設けられていないのが現状です。
橋下氏は「政治献金、政治資金も非課税だから公金に類すると思うんですよ。自分のお金のように扱ってしまう」と述べ、政治家の意識改革の必要性を強調しました。政治家が公金を扱うことの重みを認識し、最高水準の透明性を自発的に確保すべきだという主張です。
週明けの記者会見が国会での追及の前触れ
藤田共同代表は週明けに記者会見を行う予定です。橋下氏は「週明けに説明されるということなんで、それは注視していきたい」と述べ、説明内容に厳しい目を向けることを宣言しました。
この疑惑は今後、国会でも追及される可能性が高いとみられています。野党だけでなく、与党内からも説明責任を求める声が出る可能性があります。特に連立政権を組む自民党にとっても、パートナーの政党からこうした疑惑が出ることは政権全体へのダメージになるため、早急な説明と解決が求められています。
政治改革と信頼の相互関係
橋下氏の批判の根底にあるのは、政治改革を掲げる政党こそ、自らの行動で範を示すべきという考え方です。国民に負担や改革を求める際に、政治家自身の行動が厳格でなければ、政策提案の説得力は失われます。
政治資金の透明性確保は、日本の政治への信頼回復に不可欠な課題です。維新と自民党が掲げる社会保障改革や財政再建といった政策を国民が受け入れるためには、政治家自身が公金を扱う際の倫理性をより高い水準で示す必要があります。
今回の疑惑がどのように解決されるかは、維新の会の政治改革の姿勢を問う試金石となるでしょう。橋下氏の指摘する「ピリピリ感」を政治家全体が持つようになるまで、政治とカネの問題は繰り返され続ける可能性があります。