2025-11-28 コメント投稿する ▼
子どもの性搾取対策で政治の責任を問う
2025年11月28日、参議院「こども・子育て・若者活躍特別委員会」で、吉良よし子参院議員(日本共産党)は、子どもの性搾取被害に対し「救済すべき対象」として保護と支援の強化を強く求めました。 吉良氏は「性売買に従事させられている子どもを取り締まるのではなく、救済すべき対象として保護と支援につなげるべきだ」と強く求めました。
性搾取事件をめぐる現実と国会での議論
2025年11月28日、参議院「こども・子育て・若者活躍特別委員会」で、吉良よし子参院議員(日本共産党)は、子どもの性搾取被害に対し「救済すべき対象」として保護と支援の強化を強く求めました。問題提起のきっかけは、東京都内のマッサージ店で12歳のタイ人少女が客への性的行為を強制されていた事件で、約60人の大人が関与していたと報じられたものです。この事件について吉良氏は「重大な人権侵害だ」と断じました。
吉良氏は、現行の児童買春・児童ポルノ禁止法 や児童福祉法 により、18歳未満の児童と性的行為をする大人は処罰されると指摘しました。しかし「子どもの性を買う行為は犯罪だ」という認識が社会に十分浸透しておらず、啓発が不足しているとただしました。これに対し、担当の黄川田仁志 こども政策担当相は「まだ周知が足りない。犯罪だと徹底して周知すべきだ」と応じ、刑罰適用の周知拡大に前向きな姿勢を示しました。
検挙数と被害実態の乖離を指摘
吉良氏は、直近の報告で子どもへの性犯罪の総件数が2024年に「4,850件」と過去最多にのぼった一方で、児童買春などによる検挙数はわずか「416件」にとどまっている点に着目しました。つまり、性売買に巻き込まれた子どもたちが、守られるどころか、逆に補導され、犯罪者扱いされるケースが多くある現実を示しています。吉良氏は「性売買に従事させられている子どもを取り締まるのではなく、救済すべき対象として保護と支援につなげるべきだ」と強く求めました。
この主張は、子どもへの性加害の根絶を目的とした請願、たとえば2024年に国会に提出された「性虐待・性搾取等子どもへの性加害を根絶するため…」請願とも重なります。当該請願では、児童買春や児童ポルノだけでなく、子どもの「性的商品化」を許さない包括的な法整備や、被害者の声を政策に反映させる体制強化が求められています。
被害者支援と制度の隙間―法整備と運用の課題
法整備の必要性とともに、運用上の課題も浮かび上がっています。たとえば、性犯罪の公訴時効の問題があります。過去の性被害では、被害者が大人になるまで声をあげられなかったり、心身の深い傷から告発をためらっていたりするケースが多数あると長年指摘されてきました。こうした実態を踏まえ、時効の撤廃や実質的な延長を求める声もあります。実際、昨年の刑法改正では時効期間が延長されましたが、依然として根強い課題が残っています。
また、多くの子どもたちが援助の手を求めにくい現状も問題です。違法な性売買の現場は闇に包まれやすく、被害の把握や通報が遅れがちです。さらに、補導するのではなく「被害者として保護・支援する」という発想が広がらなければ、永続的な被害の連鎖を断ち切れません。
社会の責任と今後への提言
子どもの性搾取は個別の犯罪ではなく、社会全体の構造や認識の問題でもあります。制度の抜け穴、監視の甘さ、被害者に対する偏見――これらが重なり、深刻な人権侵害が繰り返されてきました。だからこそ、法改正だけでなく、周知と教育、相談窓口の充実、被害者支援の実効性確保が不可欠です。あわせて、被害の実態把握のための調査や統計整備、そして社会全体の意識改革が求められます。
今回の参院委での議論は、単なる政治のパフォーマンスではなく、子どもの尊厳と命を守るために必要なステップだと受け止めるべきです。国も国会も、そして私たち国民も――子どもを救済対象とし、守るための仕組みを本気で整える責任があります。
子どもを守るなら法と制度を今、見直す――吉良よし子議員の提起は痛烈な警鐘です。