2025-05-20 コメント投稿する ▼
空襲被害者救済法案に厚労省が難色?小池晃氏が「妨害文書」を厳しく批判
空襲被害者への一時金支給法案 厚労省文書に批判の声
第二次世界大戦中の空襲で被害を受けた民間人に対し、一時金を支給する救済法案の成立が議論される中、厚生労働省が作成した内部文書に対して批判の声が広がっている。文書には日付や作成部署の記載がなく、法案の正当性に疑問を投げかけるような記述が含まれていたことが問題視されている。
厚労省の「疑問文書」小池氏が追及
5月20日、参議院厚生労働委員会にて日本共産党の小池晃書記局長が取り上げたのは、空襲被害者に対する一時金支給法案に関連した厚労省の資料だ。この文書では、空襲による死者の遺族や、旧日本領だった台湾、朝鮮、南洋諸島、フィリピンでの被害者の扱いについて「取り扱いをどうするか」といった言及があり、法案の範囲に含まれない事例を列挙することで、法案全体に疑義を呈しているかのような内容となっていた。
小池氏は「幅広い補償を求めたが、迅速な成立を優先して対象を絞った。その事情を逆手に取って批判材料とするのは筋違いだ」として、政府側の姿勢を強く非難した。また、文書にある2005年の政府・与党間の戦後処理に関する「了解事項」を根拠にする点についても、「法的拘束力はなく、すでにシベリア抑留者への特別給付金の前例もある」として、文書の論拠を否定した。
戦後80年の節目に進むべき補償
今回の法案は、戦時中に空襲によって障害を負った民間人への救済措置として、50万円の一時金支給を定めている。心身の障害だけでなく、やけどやケロイドなども対象とし、国籍を問わず申請が可能。対象者数は約2,000人と見込まれ、全体で約10億円の予算が必要とされる。
法案は超党派の議員連盟が中心となって準備を進めてきたが、自民党内や一部の官僚組織では、過去の補償の前例を持ち出して慎重な姿勢を示す向きもある。だが、戦後80年の節目である今こそ、未解決の補償問題に向き合うべきだという声が国会内外で高まっている。
ネットの反応「遅すぎるが、第一歩」
この法案と厚労省文書に関する報道に対し、SNSでも多くの反応が寄せられている。
「空襲で家族を失った人たちの救済が、ようやく議論されるなんて遅すぎる」
「厚労省の文書、まるで成立させたくないかのような内容。違和感しかない」
「50万円じゃ足りないが、やらないよりはいい。早く通すべき」
「国籍を問わない点は評価したい。人道的観点が大事」
「政府はぐずぐずしてる暇はない。当事者の高齢化が進んでいる」
今国会中の成立なるか
小池氏は最後に、「今こそ妨害をやめ、法案を通すことが政府の責任だ」と述べ、福岡資麿厚労相に対し、法案成立時の所管について質問。これに対し福岡氏は「成立した際にはその内容に沿って運用する」と答弁した。
被害者の多くはすでに高齢となっており、時間との戦いでもある。空襲という悲劇に見舞われながらも救済されることのなかった人々に、ようやく国が手を差し伸べる時が来ている。戦後80年という節目に、この法案が成立するかどうかが、今後の歴史における大きな試金石となるだろう。