2025-06-27 コメント: 1件 ▼
大阪市の全室民泊マンションに住民反発 「認定前に介入を」市の対応に不満噴出
新築マンション全室が「特区民泊」化 住民の反発止まず
大阪市此花区で、新築の大型マンション(200室超)全室を「特区民泊」施設として運営する計画が進められていることに、地元住民の一部が強く反発している。大阪市は27日、国家戦略特別区域法に基づき、この施設を正式に特区民泊として認定。これに対し、認定に反対する署名を提出していた有志の住民グループが「認定前に市がもっと実効的な介入をすべきだった」と批判の声を上げている。
認定されたマンションは、住宅地の中に建てられた新築物件で、200室以上を外国人観光客らに貸し出す予定だ。民泊の普及が進む中で、これほど大規模な“全戸民泊”が都市部の一般住宅街で導入されるのは極めて珍しいケースであり、地域の生活環境や治安への影響が懸念されている。
市の「要請」は実効性を持つのか?
住民側は、市が事業者に交付した要請書の内容についても不信感を示している。要請書では、騒音や交通の管理、生活環境への配慮、治安維持、住民との協議などが求められているが、これはあくまで“要請”にとどまっており、法的拘束力はない。
有志の会代表の男性は「認定する前に、もっと踏み込んだ調整をしてほしかった。『認定後に要請します』では住民側の不安は解消されない。市の対応は形式的に見える」と語る。
これに対して大阪市の担当者は、「署名活動を通じて地域の声があることは重く受け止めている。事業者に対し、誠意ある対応を求めていく」と述べたが、住民側は「住環境を守る気があるなら、なぜ認定前に動かなかったのか」と強い不満をにじませる。
事業者は「調和ある運営を目指す」と表明
民泊事業者側は、地域住民との協調姿勢を強調している。取材に対し、「地域の皆さまと共に安心・快適な環境づくりに取り組み、調和ある運営を目指していく」と述べた。しかしながら、具体的な対策や運営方針については明言されておらず、住民からは「言葉だけでは不十分だ」と疑問の声が上がっている。
要請書の中では、地域住民との継続的な協議の実施も求められており、今後、市と事業者、住民との間でどのような対話が成立するかが注目される。
「実質ホテルを住宅街に作るってどうなの?」
「子どもも多いエリアで治安面が不安」
「“要請書”なんて何の拘束力もないじゃん」
「観光客が悪いわけじゃないけど、全戸民泊はやりすぎ」
「住民の声より投資家の方が優先されるのか」
民泊政策に潜む制度のひずみ
特区民泊制度は、訪日観光客の増加や地域経済の活性化を目的に、国家戦略特区において規制を緩和する形で導入された。しかし、その運用には地域ごとの差が大きく、特に住宅密集地での大型物件の民泊化については、住民の合意形成や地域調整の不備が指摘されている。
これまでも各地で「騒音」「ゴミ出しマナー」「治安悪化」などのトラブルが報告されており、制度そのものの見直しを求める声は高まっている。
行政としては、観光産業を支えるインフラの一環として民泊を推進したい考えがある一方で、地域の生活環境との調和を図るためのルール作りは追いついていないのが実情だ。今回のケースも、その制度設計の曖昧さが露呈した一例といえる。
今後、行政は住民との丁寧な対話を通じて、単なる要請や形式的対応にとどまらない、実効性ある制度運用を構築していけるのかが問われる。