2025-06-17 コメント投稿する ▼
給食に虫混入でも「加熱すればOK」発言に非難殺到 大阪市が業者契約解除の背景とは
異物混入が常態化?加熱すれば問題ないという“論理”
大阪市東住吉区の市立小学校で、給食に関する異常事態が発覚した。給食調理を請け負っていた民間事業者が、わずか40日間で18日もトラブルを引き起こし、市教育委員会は6月20日付で契約を解除する決断を下した。だが、驚くべきはその対応の杜撰さと、調理主任の無責任な発言だった。
問題の発端は、市議会の教育こども委員会での報告だ。5月20日、自民党の渕上浩美市議が「安心で安全な学校給食の提供という基本目的が守られていない」と告発。市教委が提出した資料によれば、4月3日から5月12日までの40日間に、18日間もトラブルがあったとされる。
中でも最も市民の怒りを買ったのは、給食用フライヤーの油に虫が混入していたにもかかわらず、調理主任が「加熱するから大丈夫」と開き直り、栄養士に「勉強してきたんですよね?」と居丈高に反論したという一件だ。衛生管理の基本すら無視したこの発言に対しては、後日謝罪があったものの、保護者や市民の不信感は収まらない。
「虫を加熱したらセーフ?感覚がおかしすぎる」
「食育って何?子どもに安心してご飯食べさせられないの?」
「誰が責任取るの?契約解除だけで済ませないで」
「市は再発防止を口にするけど、委託先に丸投げしてるだけじゃないか」
「業者も悪いが、教育委員会の監督責任も問うべきだろう」
「しょうが焼きが油臭い」から始まった連続トラブル
トラブルの内容も呆れるほど多様だ。4月3日の試食会では、ご飯が炊けておらず、しょうが焼きの豚肉が「固まりになって油臭い」と報告。さらには、配膳用のしゃもじや食器に汚れが残っていたり、野菜のカット中に手袋が切れ、破片が混入したり、ご飯に髪の毛が混入していた例も。こうした状況に、校長判断で一部のメニューを急遽取りやめる日も出た。
市教委は事態を受け、職員を現地に派遣し調理作業を監視。業者には是正計画の提出を求めるなどの対策を講じてきた。にもかかわらず、5月末時点で計8件の改善要求が出されており、根本的な体制不備が改善されていなかったことが露呈した。
教育現場が民間任せになった背景とその限界
問題の根は深い。近年、公立学校の給食調理を民間委託する自治体が増えているが、その背景には人手不足やコスト削減がある。大阪市もその例外ではなく、安価で大量の給食を提供できる業者に依存してきた。しかし、価格競争に晒された業者側が質を犠牲にしてきた結果、今回のような“コストの代償”が子どもたちの食卓に直撃する事態となった。
市教委の担当者は「調理機器の使用方法や洗浄方法の認識不足など、調理従事者の実施態勢が不十分だった」と説明するが、事業者の人材教育や衛生意識が根本的に欠けていた可能性は否定できない。
また、そもそも行政の責任は「委託」ではなく「監督」にある。異常な回数のトラブルが続いていたにもかかわらず、事業者への契約解除判断までに約2カ月を要した点も、対応の鈍さを物語っている。
子どもたちの安全は誰が守るのか 求められる根本的見直し
給食は、子どもにとって「学び」の一環であり、栄養バランスの取れた大切な時間だ。にもかかわらず、現場では異物が混入した不衛生な食事が平然と提供され、その責任者が「加熱すれば大丈夫」と開き直る。
今回の件を「民間委託の一失敗」として済ませてしまえば、今後も同様の問題が繰り返されるだろう。調理現場の衛生体制、教育委員会の監督手法、業者選定の基準を一から見直す必要がある。
何よりも大切なのは、「子どもたちの命と健康を守る」という原点を、教育現場が忘れないことだ。そして、現場に丸投げするのではなく、行政が責任を持って支える構造へと改革を進めなければならない。
「一番弱い子どもに被害がいく仕組み、もうやめようよ」