2025-12-11 コメント投稿する ▼
大阪市議会が障害者就労支援制度見直し意見書可決、絆HD27億円不正で制度改善要求
大阪市議会は12月11日、障害者就労支援の給付金過大受給問題を受け、国に制度見直しを求める意見書案を賛成多数で可決しました。絆ホールディングス傘下の事業所による27億円規模の不正受給疑惑は、障害福祉制度の根幹を揺るがす深刻な問題として注目されています。
意見書案で制度の抜け穴封じを要求
大阪維新の会ら4会派が共同提案した意見書案では、絆ホールディングスの問題について「障害福祉制度の根幹を揺るがしかねない重大な問題」と厳しく指摘しています。制度上の抜け穴を塞ぐ観点から、一刻も早い見直しを講じることを強く要望しました。
絆ホールディングスは、障害者に働く場や訓練を提供する「就労継続支援A型事業所」を複数運営していました。A型事業所では、利用者が一般企業に移り半年以上働くと就労定着を評価する形で、人数に応じた給付金が市町村から加算される仕組みがあります。
「制度を悪用して税金を食い物にする行為は許せない」
「障害者支援の理念を踏みにじる卑劣な手口だ」
「このような抜け穴があること自体が問題」
「青天井で加算されるシステムがおかしい」
「国はもっと厳格な監査体制を整備すべき」
巧妙な制度悪用の手口が判明
関係者によると、同社は利用者をグループ企業内でデータ入力などに携わらせて一般就労として扱い、半年経過すると事業所に戻す手法を繰り返していました。実際の作業内容はほとんど変わらないにも関わらず、雇用形態を切り替えることで何度も加算金を受け取っていた疑いがあります。
元利用者の証言では、「支援はほとんど受けられなかった」との声もあり、制度の趣旨である就労支援ではなく、給付金の水増しが目的になっていたとみられます。元職員も「本当だったらもっと頑張れる人だとしても、あそこにいれば、こんなので給料をもらえるんだとダメになっていく」と実態を証言しています。
大阪市も国に制度改善を要望
大阪市は12月3日付で、厚生労働省に制度改善を要望しました。市は加算金の上限がないことなどの問題点について伝えており、横山英幸市長氏は11日の記者会見で「障害者就労支援は重要な事業です。あるべき就労支援の姿に向け、国と協議を進めていきます」と述べました。
現在、大阪市は障害者総合支援法に基づく監査を実施中で、不適正な事業運営が判明した場合は認定取り消しや返還請求を検討しています。監査対象は絆ホールディングス傘下の5つの事業所で、過大受給額は約27億円に上るとされています。
全国的な制度見直しが急務
就労継続支援A型事業所は全国に約4300カ所あり、8万人以上が利用している重要な制度です。運営費の一部は国や自治体からの給付金でまかなわれており、障害のある人の「働く力」を支える大切な仕組みとして機能してきました。
しかし今回の事件により、制度の設計そのものに欠陥があることが明らかになりました。加算金に上限がない仕組みや、監査体制の不備が指摘されており、制度を悪用する事業者の参入を防ぐためのより厳格な仕組み作りが求められています。
意見書では「青天井の算定が生じない仕組み」の構築を求めており、国は障害福祉制度の信頼回復に向けた根本的な改革を迫られています。この問題は大阪だけの問題ではなく、全国の障害者就労支援制度の在り方を問う重大な事案として今後の動向が注目されます。