2025-07-29 コメント: 1件 ▼
埼玉県・大野知事「トルコ国籍ビザ免除停止要望」に波紋 根拠なき“住民の不安”に記者が追及
「住民の不安」に統計なし 記者会見で疑問噴出
埼玉県の大野元裕知事が提起した、トルコ国籍者への短期滞在ビザ免除の一時停止要望が波紋を呼んでいる。29日の定例記者会見では、記者から「具体的な不安の根拠は?」「データや統計はあるのか?」といった質問が相次ぎ、約30分にわたり詰め寄られる展開となった。
大野知事は、「治安に関する不安が住民から継続的に寄せられている」と主張したが、明確な統計や資料は示さず、「数字はないが、不安の声があること自体が事実」との答弁にとどまった。さらに、「免除停止は外国人排除ではなく、ビザという入口で選別してもらう要望だ」とも強調した。
記者からは、「外国人犯罪の摘発数でトルコは6番目なのに、なぜトルコだけを対象にしたのか」「本当に『住民の不安』を根拠とするなら他国も対象にすべきでは」といった論点が次々に投げかけられたが、大野氏の回答は「仮放免や繰り返される難民申請による地域への影響」というあいまいな表現に終始した。
参政党の影響? 記者が政治的背景を追及
記者会見では、今回の要望が「参政党の躍進と関係があるのでは」との質問も飛んだ。参政党は「日本人ファースト」などを掲げ、外国人政策への厳格な姿勢で一定の支持を得ている。これに対し大野知事は、「政治的な意図は一切ない」「要望は5月の関東地方知事会で提起したもので、選挙とは関係ない」と関与を否定した。
また「なぜこの時期に突然トルコ国籍者だけを名指ししたのか」という問いには、「難民申請関連の統計でトルコ国籍者が突出している」と説明。昨年のデータで、複数回の難民申請、仮放免、不認定の件数がトルコ国籍者に偏っていることを理由に挙げた。
とはいえ、クルド人の存在について「クルド人かどうかは統計が存在しないのでわからない」とし、具体的な民族的背景には踏み込まずに回答を避けた。
外交関係の悪化は? トルコとの摩擦に懸念も
トルコとの関係悪化を懸念する質問に対して、大野知事は「相互免除は両国の利益になるから結んだ優遇措置だが、通常のビザ発給に戻してほしいという趣旨であって、排除ではない」と回答。県としては、トルコ側との関係を悪化させるものではないとの認識を示した。
さらに、「外務省への要望は参院選前から行っているが、政務三役からは一度も会ってもらえない」とも語り、県選出の国会議員に対して「日程調整などの後押しをお願いしたい」と協力を求めた。
市民の声「根拠なき排除は分断を生む」
県のトップが外国籍者への対応を明確に要望する一方で、ネット上では賛否が割れている。記者会見での発言を受けて、市民・有権者からは以下のような声が寄せられている。
「不安って言えば何でも通るのか?法治国家でそれはない」
「ちゃんと統計出せ。6番目で狙い撃ちはおかしい」
「参政党の影響があるとしか思えないタイミングだな」
「クルド人かどうかも不明なのに、トルコ全体に制限?筋が違う」
「文化も法律も違う以上、日本に来るなら守る前提で受け入れるべきだ」
移民や難民政策において「不安」や「感情」による対応は分断や偏見の助長にもつながる。統計や制度に基づいた透明性ある議論が求められている。