2025-07-01 コメント投稿する ▼
田村智子氏「米の価格に再生産可能な保障を」価格暴落と農家減少に警鐘 欧州型支援導入を提案
田村智子氏「米農家に再生産可能な価格を」価格保障と所得補償を訴え
「米価は命の問題」共産党が主張する食料主権と直接支払い制度
70代が支える米作りの限界 消費者と農家をつなぐ政策とは
欧州型の農業支援を日本でも 共産党が参院選で示す方向性
田村智子氏「米価暴落は農業崩壊につながる」
7月1日夜に放送されたTBS系「news23」の党首討論で、日本共産党の田村智子委員長は、米の価格高騰と農家への支援策について強く訴えた。現在、米価は5週連続で値下がりしているが、依然として昨年の1.7倍に高止まりしている状況が続く。
石破首相は討論の中で「田んぼを集約して機械化効率を上げるべきだ」と大規模化路線を示し、日本維新の会の吉村代表は「輸出して、必要なら止めればいい」と安全保障を理由に輸出規制論を展開した。
これに対し、田村氏は根本から違う視点を打ち出す。
「問われているのは、農家に対する“保障”です。どんなに効率化しても、米の価格が暴落すれば作れません」と切り出し、「2000年以降、米農家は3分の1に減り、担い手の多くは70代以上。これが現実です」と強調した。
「米を作って飯が食えないなら、誰も続けない」
「大規模化だけが正解じゃない」
「石破さんの田んぼまとめれば効率いいって発想が時代遅れ」
「再生産できる価格の保証は当たり前の話」
「主食なのに自己責任の放置はおかしい」
「60キロ2万数千円を絶対に保障すべき」
田村氏はフリップに「再生産可能」と記し、60キロあたり2万数千円の価格を「どんなことがあっても保障する制度をつくるべき」と明言。ここで言う「再生産可能」とは、農家が翌年も米を作り続けられるだけの利益を確保できる価格水準のことだ。
過去には1万2000円未満まで価格が下がった年もあり、「それでは米農家が成り立たず、“米を作っても食えない”という声が広がった。結果、作り手が減り続けている」と田村氏は指摘する。
消費者の立場も忘れていない。田村氏は「米は主食。買えないような価格になってはいけない。だからこそ、生産者には所得補償、消費者には価格保障。両方必要だ」と語った。
欧州に学べ 直接支払いと所得補償の仕組みを日本にも
田村氏が参考にすべきとしたのが、ヨーロッパ型の農業支援制度だ。EU諸国では、単に市場任せにせず、農家に対して「直接支払い」「所得補償」「価格保障」の三位一体の支援を行っている。
「例えば有機農業は収量が落ちるが、環境保全には役立つ。だからこそ、そこに直接支払いを行って持続可能な農業を支えている」と田村氏。中山間地の農業や、気候変動の影響を受けやすい地域にも手厚い支援が行われている。
こうした仕組みを導入することで、規模に関わらず農家が安心して作物を作り続けられる環境をつくる。それが「食料主権」を守る基盤になるというのが共産党の考えだ。
農業の自己責任論を超えて 食料安全保障のための再構築
一方、石破首相や吉村代表のような「規模拡大」「市場開放」を軸とした政策は、結局は生き残れる農家だけを対象としたものであり、地方の中小農家や兼業農家、高齢農家を見捨てる構図になりかねない。
田村氏の提案は、「農業は社会全体で支えるべきインフラであり、国民全体の命を守るための基盤」だという立場から出発している。コスト効率だけで語れない分野だからこそ、価格と所得の保障制度が不可欠だとする論理には、現場感覚に基づく説得力がある。
さらに、食料価格の変動が激しくなる時代において、国内生産の維持は国防と同等に重要だという認識も浸透しつつある。田村氏が強調する「再生産可能な価格」と「農家への直接支援」は、まさにその土台となる。