デルパラ選挙買収「楽な仕事」発言で平成以降最大236人摘発・企業献金禁止が急務

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デルパラ選挙買収「楽な仕事」発言で平成以降最大236人摘発・企業献金禁止が急務

この事件の背景には、特定の業界団体などのために政治・政策決定がゆがめられることのないよう、会社、労働組合その他の団体(政治団体を除く)が政治活動に関する寄附や政治資金パーティーの対価の支払いをすることを禁止すべきという根本的な問題があります。 そもそも政治資金は国民の税金から拠出される政党交付金で十分であり、特定企業の利益を代弁するような政治活動に企業資金が流れることは適切ではありません。

デルパラ選挙買収事件


パチンコ業界初の組織内候補として自民党から出馬した阿部恭久氏への投票を従業員に求め、見返りに金銭を約束したとして、公選法違反(買収約束)の罪に問われた同社幹部3人の初公判が東京地裁であり、3被告はいずれも起訴内容を認めたパチンコ店運営会社「デルパラ」の選挙買収事件は、現代日本の選挙制度と企業倫理の根本的問題を浮き彫りにしています。

平成以降最大規模の組織的買収工作


起訴されたのは社長の李昌範(51)、営業本部長の湯浅一行(46)、管理本部長の小西悌之(45)の3被告で、起訴状によると、7月、グループ各店舗の店長らと共謀し、従業員計203人に、阿部氏に投票すれば3~4000円を支払うと約束したとされる事件です。

検察側は冒頭陳述で、3被告は共謀し、全国の店長とのウェブ会議の際、従業員が阿部氏の名前を書いた投票用紙をスマートフォンで撮影して画像を本部に送れば、残業代名目で報酬を支払うと説明したと指摘した手口は、まさに現代的なデジタル技術を悪用した組織的犯罪といえるでしょう。

「店長から『阿部恭久』と書いて写真をLINEで送れば3000円もらえると言われた」
「選挙に興味なかったけど、バイト仲間は楽な仕事だと言っていた」
「実際に投票して写真を送った人もいた。みんな軽く考えていた」
「まさかこんな大事件になるとは思わなかった」
「会社の指示だから断れない雰囲気があった」

公職選挙法の重大性を軽視した企業体質


この事件では警視庁などが同社幹部や従業員ら計236人を摘発し、平成以降の国政選挙で最大の買収事件となったという事実は、この問題の深刻さを物語っています。デルパラは経営する30以上の店舗に勤める250人超の従業員らに報酬を約束したとされ、選挙買収事件としては異例の規模となったのです。

公職選挙法221条1項により、当選する目的をもって、金銭を渡した場合には、三年以下の懲役か禁錮、または五十万円以下の罰金に処せられるという重大な犯罪行為でありながら、企業が組織的にこれを実行したことは、民主主義の根幹を揺るがす行為です。

企業・団体献金の構造的問題点


この事件の背景には、特定の業界団体などのために政治・政策決定がゆがめられることのないよう、会社、労働組合その他の団体(政治団体を除く)が政治活動に関する寄附や政治資金パーティーの対価の支払いをすることを禁止すべきという根本的な問題があります。

現在の政治資金制度では、政治団体を除く会社・労働組合等の団体は、政党・政党の支部及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはいけませんとされているものの、パーティー券購入などの抜け道が存在します。今回の事件はそうした制度の不備を突いた悪質な犯罪行為といえます。

企業・団体献金は、資金力のある企業や業界の意向に配慮せざるを得ず、政治や政策決定がゆがめられるのではないか、という懸念があることは以前から指摘されており、国民のための政治ではなく企業のための政治になる恐れが現実のものとなった事例です。

給付金より減税こそが民意


そもそも政治資金は国民の税金から拠出される政党交付金で十分であり、特定企業の利益を代弁するような政治活動に企業資金が流れることは適切ではありません。参議院選挙で示された民意は明確に減税であり、特定業界への利益供与ではないはずです。

企業が政治に関与すべきは、適正な税負担を通じた社会貢献であって、政治家個人や特定政党への資金提供ではありません。今回のような事件は、企業と政治の不適切な癒着が生み出す必然的な結果といえるでしょう。

デルパラ従業員の証言が示す軽薄な企業文化


デルパラのアルバイト男性(20)は「店長から、投票用紙に『阿部恭久』と書いて写真をLINE(ライン)で送れば3000円をバイトの残業代として支払うと説明があった」と証言。「選挙に行く気がないのでスルーしたが、選挙が近づくと店長から再度呼びかけられた。バイト仲間は『楽な仕事だ』と、阿部氏に投票して写真を送信した人もいた」と明かしたという証言は、この企業の倫理観の欠如を如実に示しています。

選挙権という神聖な権利を金銭で売買する行為を「楽な仕事」と表現する感覚は、まさに民主主義に対する冒涜です。企業が従業員に対してこうした違法行為を強要することは、労働者の権利侵害でもあります。

真の政治改革への道筋


この事件を契機として、日本は真の政治改革に取り組むべきです。具体的には企業・団体献金の全面禁止と、政治資金の透明性確保が急務です。政治は国民のものであり、企業の利益代弁機関ではありません。

参議院選挙で示された国民の意思を尊重し、特定業界への利益誘導ではなく、減税による国民負担軽減こそが政治の最優先課題であることを、この事件は改めて教えてくれています。

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2025-11-21 08:58:53(植村)

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