2025-05-16 コメント投稿する ▼
「人間中心のAI」を求める杉尾秀哉議員、参院本会議でAI新法に代表質問 - 日本のAI戦略に疑問も
参院本会議
杉尾秀哉議員、AI新法で「人間中心のAI」を強調
参院本会議で2025年5月16日、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案」(AI新法)の代表質問が行われ、立憲民主・社民・無所属会派を代表して杉尾秀哉参院議員が登壇した。AIの急速な進化と社会的影響を踏まえ、「人間中心のAI」の理念を明確にすべきだと訴えた。
AIの進化とシンギュラリティ
杉尾議員は、AIが人類の知能を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」の到来が目前に迫っていると強調。特に、東京大学の松尾豊教授が「2030年までにシンギュラリティが訪れる可能性がある」と指摘していることに触れた。さらに、2022年に登場した対話型AI「ChatGPT」や、2025年に発表された中国の高性能AI「ディープ・シーク」を例に、AIの急速な進化が社会に与える影響を説明した。
「AIは効率化のツールであると同時に、誤った使い方をすれば人類に脅威をもたらしかねない」とし、AIの発展を「天使にも悪魔にもなり得る」と表現。杉尾氏は、この急速な進化に対応するため、AIの安全で倫理的な活用を推進すべきだと強調した。
日本のAI戦略と遅れを指摘
杉尾議員は、日本政府がこれまで「第5期科学技術基本計画」や「AI戦略2019」でAI技術の推進を掲げてきたものの、2023年の国内AI関連投資は世界12位にとどまり、生成AIの個人利用率もわずか9%と指摘。これに対し、アメリカは46%、中国は56%に達しているとし、日本の遅れが際立つと批判した。
「石破総理は『世界で最もAIを開発・活用しやすい国』を目指すと語っているが、これまでの政策が実効性に乏しいことを反省し、具体的な数値目標を設定すべきだ」と述べた。また、国際競争力を高めるため、政府はAI分野での投資促進や人材育成に力を入れるべきと提言した。
人間中心のAI理念の明記を要求
AI新法の基本理念に関して、杉尾議員は「人間中心のAI」を明記することを求めた。彼は、2023年のG7広島サミットで採択された「広島AIプロセス」や鳥取県の「AI(ええ愛)ガイドライン」を例に挙げ、「AIは人々の尊厳を守り、多様な価値観を尊重するものでなければならない」と強調した。
「人間の尊厳や民主主義を支える理念が欠けているAI法は不完全だ」とし、国内外のAI規制の事例も参照しつつ、より明確で強固な理念を法案に盛り込むべきだと主張した。
AI利用リスクと責任問題
杉尾議員は、AIの利用が引き起こすリスクとして、著作権侵害やディープフェイク被害、AIシステムの誤作動による損害などに言及。これらの問題に対処するため、法整備を進める必要性を訴えた。
特に、ディープフェイクポルノや生成AIによる著作権侵害については「被害者の保護と救済を迅速に進めるべき」と述べ、鈴木法務大臣に対応策を求めた。また、AIシステムの誤作動による被害発生時の責任所在を明確にすることも必要だと指摘した。
ネットユーザーの反応
「人間中心のAIは本当に必要だと思う」
「日本のAI戦略、もっと具体的に行動してほしい」
「ディープフェイク対策、法整備が急務だ」
「国民の責務って何?もっと具体的に示してほしい」
「AIは便利だけど、使い方を誤ると怖い」
杉尾議員の質疑は、今後のAI法制のあり方に大きな影響を与えることが予想され、国会での審議の行方に注目が集まっている。