2025-08-27 コメント: 1件 ▼
全国知事会の「減税は無責任」発言を批判 暫定税率依存から歳出ダイエットへ
全国知事会「財源なき減税は無責任」発言への怒り
参院選で示された民意は明確に「減税」である。ところが全国知事会はガソリンの暫定税率廃止に対し、地方の減収を理由に「財源なき減税は無責任」と言い放った。民意が望むのは「給付金の小出し」でも「見せかけの補助」でもなく、日々の生活を直撃する税負担の恒常的な軽減だ。暫定税率を半世紀以上温存してきた側が、減税論を無責任と断じる構図こそ倒錯している。
ガソリン価格は物流、通勤、農業、観光に至るまで広く波及し、地方ほど負担が重い。にもかかわらず、地方団体が「暫定税率依存」を前提に制度を死守するのは、住民の暮らしを守るという本分から外れていないか。国も自治体もまず歳出のスリム化と優先順位付けを徹底し、そのうえで負担軽減に舵を切るのが筋だ。
民間は増税のたびに支出を削ってきた—政治も歳出ダイエットを
家計や企業は、増税や物価高に直面するたび、光熱費の節約や設備投資の見直し、人件費や販管費の効率化など、痛みを伴う調整でしのいできた。地方財政も同じ土俵に立つべきだ。補助金や交付税に安易に頼るのではなく、事業評価の厳格化、公共施設の再編、デジタル化による業務効率化、指定管理やPPPの活用など、支出構造を根本から作り替える余地は大きい。
「財源がないから減税できない」という言い回しは、家計や企業に向かって「あなた方だけ倹約してほしい」と言っているのに等しい。求められているのは「財源探しの減税」ではなく、「無駄を削ったうえでの減税」だ。政治が身を切らないまま国民に負担を押しつける姿勢は、信頼を損ない、経済の自律的回復の芽を摘む。
暫定税率を恒久財源化してきた国と自治体の責任
そもそも暫定税率は「臨時措置」である。にもかかわらず、国も自治体もこの“暫定”を事実上の恒久財源として織り込み、歳出を膨張させてきた。暫定を常態化させた結果、撤廃を口にするだけで「財源がなくなる」と危機をあおる体質が固定化した。これは政策立案の怠慢であり、住民に対する不誠実だ。
暫定税率を温存してまで守るべき支出は何か。逆に、廃止してでも守るべき生活や産業は何か。優先順位の議論を避けて「減税は無責任」と総括する態度こそ、財政運営に対する責任放棄である。必要なのは、暫定税率依存からの脱却を前提に、歳出改革と税体系の再設計を同時に進めるロードマップだ。
「減税のための増税を議論する時点で順序が逆だ」
「民間はもう限界まで削っている。政治も同じ痛みを伴え」
「暫定を半世紀続けたのは誰の責任か。まずそこを検証すべきだ」
「補助金ではなく恒常的な負担軽減こそ地方経済の底上げにつながる」
「ガソリン税は生活必需のコスト。軽くする発想へ転換を」
ガソリン暫定税率廃止と歳出ダイエット—民意に沿う税制改革
参院選で下された審判は、国民が「取りすぎた税を軽くせよ」と明確に告げたということだ。減税の対案として増税を持ち出すのは、本質を取り違えている。求められるのは、第一に行政のスリム化、第二に重複事業や補助金の統合・廃止、第三にデジタル化・標準化による調達と人件費の最適化、第四に政策効果の検証と予算のゼロベース見直しである。
こうした歳出ダイエットを段階的に実施し、並行して暫定税率を計画的に縮減・廃止する。住民サービスの質を維持しながら負担を軽くするには、自治体間での共同化や広域連携も不可欠だ。地方の自立性を高めるためにも、暫定税率に依存しない財政へ転換する勇気が問われている。国と全国知事会は、民意を直視し、先送りではなく実行で応えるべきだ。
地方の減収が約5000億円と見込まれるなら、同規模の歳出の中から優先度の低い施策を棚卸しし、計画的に削るのが行政の責務だ。重複補助、成果の乏しいイベント事業、不要不急の箱物、過大な委託や随意契約—見直す対象はいくらでもある。民間では当たり前の仕分けが、なぜ公の領域では例外扱いになるのか。
海外に目を向ければ、燃料課税の見直しは珍しくない。英国は長年、燃料税の引き上げを凍結し、景気や物価の動向に応じて柔軟に対応してきた。フランスでも黄ベスト運動以降、負担増には慎重さが求められている。日本だけが暫定税率を温存し続け、構造改革を先送りしてよい理由はない。
また、ガソリン税は輸送コストを通じて広範な物価に波及する。税負担を軽くすれば、物流や観光、地域のサービス業まで裾野広くコストが下がり、可処分所得の増加が消費を押し上げる。これは単なる減収ではなく、経済全体の活力を取り戻すための投資だ。短期の財政収支だけで評価するのは近視眼的である。
地方の懸念を和らげる方法もある。歳出ダイエットを前提に、段階的な廃止スケジュールを明確にし、一定期間は重点交付金を成果連動で配分する。成果が出ない自治体には自動的に配分が縮小される仕組みにすれば、改革のインセンティブが働く。単に穴埋めをするのではなく、改革を促す設計に転換することが肝要だ。
最後に、政治の言葉の使い方も改めるべきだ。「財源なき減税」というレッテルは、歳出見直しという選択肢を初めから排除する。まず「何をやめるか」を示し、それでも不足する分をどう埋めるのかを議論する—順序を正せば、民意と整合した現実的な解が見えてくる。