2025-06-20 コメント投稿する ▼
山口那津男元代表が政界引退へ “なっちゃん”の誠実政治に惜しむ声相次ぐ
15年間の議員生活に幕 参院選不出馬を表明
6月20日、公明党の斉藤鉄夫代表は党内の会合で、元代表の山口那津男参議院議員(東京選挙区)が今夏の参院選に出馬せず、政界を引退する意向を正式に表明したことを明らかにした。
山口氏は平成21年9月に党代表に就任して以来、連続8期15年にわたって議席を維持。これは1990年代の再結成以降の公明党では最長となる実績だ。本人は記者団の前で、「心がけてきたのは、一つのテーマを地道に、ライフワークとして追い続けることだった」と述べ、地雷除去支援や平和外交の活動を振り返りながら、「お世話になった方々の恩を、次世代に手渡したい」と静かに語った。
“ピンチヒッター”から15年 安倍・菅・岸田各政権を下支え
山口氏が公明党代表に就いたのは、2009年の衆院選で当時の党代表・太田昭宏氏が落選し、急遽辞任した直後のことだった。当初は「ピンチヒッター的な役割」と自身も語るように、予定外のバトンタッチだったが、そこから政界での歩みを大きく前進させていくこととなる。
2012年の自公連立政権復帰後は、安倍晋三首相(当時)と二人三脚で連立の要として機能。政策の調整役として、時には与党内の緊張を緩和し、また外交や安全保障の議論でも安定した橋渡し役を果たした。菅政権、岸田政権でもその立ち位置は変わらず、「沈黙の交渉人」とも称される慎重さと調整力で、与党内外から信頼を集めた。
「地味だけど堅実。政治家として一番難しいことをずっとやってきたと思う」
「“なっちゃん”がいなかったら、連立はもっと早くガタガタになってたはず」
“なっちゃん”コールと信頼 公明支持層からも惜しむ声
山口氏は温厚な語り口と穏やかな人柄で知られ、街頭演説などでは「なっちゃん」コールが飛び交うほど親しまれていた。特に創価学会の支持者からの信頼は厚く、「誠実で嘘をつかない人」「一番安心して任せられる代表だった」との声が多く聞かれる。
党内からも「余人をもって代えがたい」「誠実な実務家」「最も信頼できる調整型のリーダーだった」と惜しむ声が相次ぎ、長年の実績が今あらためて評価されている。
「地道で丁寧。真っ当な政治をやってきた人がまた一人いなくなるのは寂しい」
「“なっちゃん”ありがとう。何度も救われた。感謝しかない」
「政治が荒れる中で、真面目にやる人だったと思う。引退は残念だが、お疲れさまでした」
公明党の次なる舵取り “山口後”をどう乗り越えるか
山口氏の引退によって、公明党はひとつの時代を終えることになる。岸田政権との連携や、自民党との関係性の再調整、さらには支持母体との信頼関係の再構築など、後任に求められる役割は極めて重い。
特に現在、政教分離を巡る議論や与党内の世論との距離が取り沙汰される中で、山口氏のような「現実路線」の代表が退くことは、党の安定にも大きな影響を及ぼす可能性がある。外交・経済・福祉、いずれの政策でも山口氏のような“バランサー”の存在が不可欠だったことは、政界全体が認識している。
今後、誰が党の顔として出てくるのか、そしてどのような価値観で公明党を牽引していくのかが、注目される。