2025-06-28 コメント投稿する ▼
奈良県がこども食堂新設に最大30万円補助 孤立する子ども支援と地域活性化を後押し
孤立する子どもを支えたい
奈良県が「こども食堂」新設を支援 備品購入費を最大30万円補助へ
設置率56.7%、県内で急増中
奈良県は、子どもに無料または低額で食事を提供する「こども食堂」の新設を支援する制度を新たに開始した。支援の内容は、食堂を開設する際に必要となる調理機器や家具などの備品購入費を補助するもので、上限は20万円、未設置の小学校区への開設であれば30万円まで支給される。
この制度は、家庭環境や経済的な理由などで孤立しがちな子どもたちの支援を目的にしたもので、あわせて地域の高齢者や住民の居場所づくりとしての側面も期待されている。
奈良県内では、「こども食堂」は平成28年度末にはわずか19カ所(12市町)だったが、2024年5月末時点で178カ所(28市町村)にまで拡大している。小学校区に対する設置率も、わずか8.5%から56.7%へと大幅に増加しており、県は「全校区設置」を視野にさらなる拡充を進める方針だ。
「こういう支援がもっと前からあってもよかった」
「孤立するのは子どもだけじゃない。地域みんなの場所にしてほしい」
「食堂って名前だけど、居場所そのものだと思う」
「子どもも高齢者もつながれる空間、大事にして」
「税金の使い道としては納得できる部類」
補助は先着20件、企業版ふるさと納税を活用
今回の補助制度では、おおむね2カ月に1回以上継続的に開催することが条件で、家庭的な雰囲気の中で定期的に活動することを重視している。補助は先着20件程度を想定しており、企業版ふるさと納税を財源に充てる。
対象となる備品には、業務用の調理機器や冷蔵庫、テーブル・イスといった家具、さらには食器や調理道具、衛生管理用の消耗品なども含まれる。地域の特性や規模に応じて柔軟に使用できるよう設計されており、手続きも簡素化されているという。
設置場所については特に制限はなく、空き店舗や自治会館、古民家、空き教室など多様なスペースを活用することができる。県は、設置を検討する団体・NPOなどに対し、事前相談も含めて積極的なサポートを行う姿勢を示している。
知事も後押し、「こども食堂は地域の希望」
山下真知事は6月の定例記者会見で、今回の支援制度について次のように語った。
「こども食堂は、さまざまな事情で孤立する子どもたちの支えになるだけでなく、地域の高齢者や多世代の交流の場としても良い効果がある。そうした活動を後押ししたい」
この発言には、単なる子育て支援という枠を超えた、地域全体の連帯や再生を促す試みとしてのこども食堂の可能性が込められている。実際、食事を共にすることで世代を超えたつながりが生まれ、「地域の防災拠点」としての機能を持つ事例も出始めている。
また、ひとり親世帯や外国籍家庭の子どもたちにとっても、定期的に顔を出せる安心の場となり、食事だけでなく、学習支援や相談活動を併設する動きも活発化している。
「食堂」は食べるだけの場所ではない
「こども食堂」と聞くと、「貧困対策」と狭く捉えられることもあるが、現場ではそれ以上の機能を果たしている。孤立しがちな子どもが話し相手を得る場所、子育てに悩む保護者が相談できる場所、そして地域の高齢者が役割を持てる場所——こうした複合的な居場所が、地域の未来を支える基盤になりつつある。
県の補助制度は、そうした動きのさらなる定着と発展を後押しする狙いがある。制度への問い合わせは、奈良県こども家庭課が窓口となっている。