2025-04-23 コメント投稿する ▼
田母神俊雄氏、靖国例大祭で現職首相の不参拝に苦言 「戦後は終わらない、勇気ある総理を」
田母神俊雄氏、靖国春季例大祭に参列 「日本の戦後は終わらない」総理参拝に言及
元航空幕僚長であり保守系論客としても知られる田母神俊雄氏は、4月23日、自身のX(旧Twitter)を更新し、靖国神社で行われた春季例大祭への参列を報告するとともに、日本の首相による公式参拝の実現を求める主張を展開した。
「昨日靖国神社の春期例大祭に参列して来た。勅使が御宝物を持って参拝され、石破総理もいつもの通り真榊を奉納している。多くの人が集まるこの行事に総理の参拝が叶うのはいつのことになるのだろうか」(田母神氏の投稿)
田母神氏はこの投稿の中で、現職総理である石破茂氏が「真榊(まさかき)」を奉納したことに触れつつ、直接的な参拝を行っていない現状を批判した。さらに、こうした配慮の背景にある外交的事情を念頭に、
「他国に配慮して当然実施すべきことをしない、日本の戦後は終わらない。我が国はなめられ続ける。勇気ある総理が出てくれないものか」
と述べ、毅然とした態度を取る政治指導者の登場を求めた。
靖国神社参拝をめぐる政治的背景
靖国神社は、戦没者約246万人を祀る神社として国内外に知られており、とりわけA級戦犯とされた東条英機らが合祀されて以降、国内でも評価が分かれ、外交的にも中国・韓国との摩擦の火種となってきた。特に首相や閣僚による公式参拝は、両国が「軍国主義の正当化」とみなすことから、外交上の課題となっている。
2006年の小泉純一郎首相による終戦記念日の参拝を最後に、歴代首相は参拝を自粛してきた。安倍晋三元首相は2013年に靖国を参拝したが、その後は外交的な影響を鑑み、「私的参拝」や「真榊の奉納」にとどめる形が続いている。今回の石破首相もこれに倣い、直接の参拝は見送ったとみられる。
保守派からの不満と期待
田母神氏の投稿は、長年靖国神社参拝を「国家の矜持」と位置付けてきた保守層の不満を象徴するものだ。特に彼は自衛隊出身者としての立場から、「国のために命を捧げた英霊に対して、国家元首が正面から敬意を示すべきだ」と繰り返し主張してきた。
また、今回の発言には、保守支持層の間で根強い「戦後レジームからの脱却」論が反映されている。これは、敗戦後の占領政策や憲法体制に由来する「自虐史観」から脱し、独立国家としての自尊心を回復するべきだという思想である。
外交と歴史認識のはざまで揺れる首相の判断
一方で、現実の外交環境を考慮すれば、首相による靖国参拝は日中・日韓関係に与える影響が大きい。実際、過去の例では参拝後に首脳会談が中断されたケースもある。現職の石破首相は、国内保守層への一定の配慮を示しつつも、外交安定を優先する立場と見られる。
田母神氏のような声は今後も政界・社会に一定の影響を与えると見られ、参拝の是非は引き続き、日本政治における象徴的な論点となるだろう。