2025-09-08 コメント投稿する ▼
5選の中山石垣市長が所信表明 台湾航路・産業振興・安全保障に決意
なかやま市長は市民生活、観光、産業、環境、安全保障の幅広い課題に触れ、地域課題の克服と発展に意欲を示した。 中山市長はこれを「地域経済活性化の切り札」として位置づけ、国際的なつながりを強化する姿勢を示した。 中山市長は「石垣島に長距離射程ミサイルは必要ない」と述べつつ、国や県と連携して実効性のある住民避難計画を策定する方針を示した。
中山石垣市長、5選後の所信表明
石垣市議会の不信任決議で失職し、出直し市長選を経て5選を果たした中山義隆市長が8日、当選後初めて市議会9月定例会で所信表明を行った。中山市長は「これまでの15年間の経験を最大限に生かしながら職務に邁進していく」と述べ、長期市政の継続性と安定性を前面に出した。
市政運営の基本理念として「日本一幸せあふれるまち石垣市」を掲げ、「島を守る」「人を守る」を軸に全職員とともに取り組む決意を改めて強調した。市民生活、観光、産業、環境、安全保障の幅広い課題に触れ、地域課題の克服と発展に意欲を示した。
「5期目でも初心を忘れず島のために尽くしてほしい」
「台湾航路の開設は生活と観光の両面で期待できる」
「自然環境を守る姿勢を続けてほしい」
「不信任の件をどう市民に信頼回復で示すかが大事」
「長期政権の弊害をどう克服するか見守りたい」
台湾航路と観光振興
所信表明の中山氏は、台湾との定期航路開設を重点施策に掲げた。「台湾から生活物資を輸入することで、市民生活における価格低減効果が期待できる」と指摘し、物流面でのメリットを強調した。さらに「石垣プラス台湾」という新たな観光ルートを打ち出すことで、国内観光客の需要増を見込む考えを示した。
観光産業は石垣市の基幹産業であり、海外との直行航路の有無が市経済に大きく影響する。中山市長はこれを「地域経済活性化の切り札」として位置づけ、国際的なつながりを強化する姿勢を示した。
産業振興と環境への配慮
産業政策では、新製糖工場の建設、八重山食肉センターの国際的衛生基準HACCP(ハサップ)取得、漁業者への燃料費補助、漁協セリ場の改築、もずくタンク増設など具体的施策を提示。農林水産業を基盤とする地域経済の底上げを目指す。
また、八重山美術博物館の建設構想を進め、地元出身の人間国宝による染織作品などを展示する計画も明らかにした。文化資源を観光資源化しつつ、地域の誇りを発信する取り組みを重視している。
一方で、ゴルフ場付きリゾート施設整備については「カンムリワシなどの貴重な動植物の保全に努め、自然環境に配慮する」とし、事業者と連携して開発と環境保全の両立を図る姿勢を示した。
安全保障と市民の安心
地政学的に敏感な位置にある石垣市の安全保障にも言及した。中山市長は「石垣島に長距離射程ミサイルは必要ない」と述べつつ、国や県と連携して実効性のある住民避難計画を策定する方針を示した。特定臨時避難施設(シェルター)の整備も進め、万が一の有事に備える計画である。
安全保障と市民生活の安心を両立させる姿勢は、地元が抱える不安に応えるために不可欠であり、今後の市政運営の大きな柱となりそうだ。
不信任決議を受けた説明責任
中山市長は、不信任決議の理由となった国保特別会計の問題についても改めて謝罪した。担当職員には懲戒処分を行い、関与した管理監督者には厳重注意を科したと報告。さらに「最終責任者として相応の処分を行う」と述べ、自身と副市長も処分対象とする意向を明らかにした。
この日の所信表明は「就任あいさつ」として議事日程に記載されていなかったが、議事録には正式に記録される。信頼回復への姿勢を示す場として、重みのある発言となった。
石垣市政の継続と課題克服に向けた展望
中山市長の所信表明は、長期市政の継続とともに、観光や産業振興、文化発信、安全保障、環境保護と幅広い課題に取り組む姿勢を明確にしたものだった。市民の期待と不信任決議の記憶が交錯する中で、信頼をどう取り戻し、石垣市を発展させるかが今後の最大の焦点である。