2025-08-07 コメント投稿する ▼
防災庁の設置地に栃木県を要望 福田知事「国家のバックアップ拠点にふさわしい」
「防災庁は栃木に」福田知事が要望 災害時の国家機能バックアップ拠点に名乗り
災害の少なさと首都圏近接を強調
栃木県の福田富一知事が、政府が創設を目指す「防災庁」の設置地として同県を正式に要望した。8月7日、内閣府を訪れた福田知事は、瀬戸隆一副大臣に対し要望書を提出。「栃木県は災害が比較的少なく、首都圏とのアクセスも良好。万が一の際には国の中枢機能のバックアップ拠点となるにふさわしい」として、新設される防災庁の誘致に強い意欲を示した。
要望書では、同県がこれまで災害に強い都市づくりを進めてきたことに加え、高速道路や新幹線などの交通インフラが整備されている点が強調された。首都直下型地震や南海トラフ巨大地震など、国家機能に直結するリスクが高まる中で、「防災庁は単なる行政機関ではなく、非常時に政府機能を継続させる“最後の砦”になるべきだ」との認識もにじむ。
栃木の地理的・機能的優位性
防災庁は2026年度の創設を目指し、政府内で議論が進められている。現段階では設置場所は白紙とされているが、既にいくつかの自治体が誘致の動きを見せており、自治体間の“静かな競争”が始まっている。
福田知事は面会後の取材で、「日本は地震・台風・豪雨と災害リスクに常にさらされている。特に首都直下地震のリスクは切迫しており、防災庁の設置は国の最優先課題だ」と力を込めた。
SNS上ではさまざまな声が広がっている。
「災害が少ない栃木なら安心できる」
「東京に何かあった時に備えるなら、ちょうどいい距離感だと思う」
「どうせまた東京か大阪に置くんでしょ、分散しようよ」
「中央省庁を地方に移す動きとしても理にかなってる」
「誘致合戦になるより、機能優先でちゃんと選んで」
このように、冷静な評価と期待の声が広がっており、政治的なパフォーマンスではなく、実効性ある議論が求められていることがうかがえる。
首都一極集中のリスク再認識を
近年、災害対応や国土強靱化の観点から「首都機能の分散」が課題として繰り返し指摘されてきた。2011年の東日本大震災や、2024年の能登半島地震でも、行政機能が一極集中していることで、危機対応に大きな支障が出た教訓は記憶に新しい。
災害対策の司令塔となる防災庁が、東京圏とは異なる場所に設けられることで、仮に都心の行政中枢が機能不全に陥った場合でも、即時に全国的な災害対応を展開できる「第二の司令塔」としての役割が期待される。
栃木県は、北関東の中心に位置し、南関東(東京・埼玉・千葉)や東北との中継地点としても機能する地理的優位性を持つ。特に、災害発生時に人や物資を迅速に移動させるための道路・鉄道インフラが整っている点は、他地域に対する大きなアドバンテージといえる。
本質問われる「地方創生型誘致」
一方で、中央省庁の地方移転を「地方創生」の文脈で語る動きには疑問の声もある。防災庁は単なる役所ではなく、災害発生時に国を動かす実動組織となるべきであり、その機能性を最優先に検討すべきとの意見も多い。
地方誘致の“数合わせ”に使われるようなことがあれば、いざというときに機能しない危険性もある。今回のような国家機関の設置は、地方の振興や政治的配慮ではなく、「日本全体の危機管理体制の再構築」という原点に立ち返って判断されるべきだ。
また、税金による災害対策費が多額に投じられる以上、その投資効果を最大化するためにも、「場所ありき」ではなく、「機能ありき」で議論を進める必要がある。
防災庁が真に国民を守る機関となるために必要なのは、迅速な意思決定と機動力、そして何より平時と有事のギャップを埋めるリアルな準備体制だ。その条件を冷静に見極めた上で、設置場所を選定すべきだろう。