個人輸入品の税優遇廃止で中国系EC規制へ――不公正な価格競争是正へ

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個人輸入品の税優遇廃止で中国系EC規制へ――不公正な価格競争是正へ

国内の小売・卸業者と中国系ECサイトとの間に生じている極めて不公平な価格競争を是正する重要な一歩となります。 この仕組みを利用して、TemuやSHEIN、AliExpressなどの中国系ECプラットフォームは、中国から直送する「個人輸入代行」という形式をとることで、実質的に無税に近い状態で商品を販売してきたのです。

個人輸入品の税優遇廃止へ、中国系EC規制で国内小売業の競争環境改善へ


財務省は11月2日、個人輸入品に対する税優遇制度を廃止する方針を固めたことが判明しました。TemuやSHEINといった中国系電子商取引(EC)サイトが、この制度を悪用して日本の消費者に破格の安値で商品を販売してきたことが背景にあります。国内の小売・卸業者と中国系ECサイトとの間に生じている極めて不公平な価格競争を是正する重要な一歩となります。

税優遇制度廃止の内容――40%の課税価格引き下げを撤廃


廃止対象となるのは、個人使用目的の輸入品に対して、税金の計算基準となる課税価格を通常よりも約40%引き下げる特例です。現行制度では、スマートフォンケースや衣類、インテリア小物など1万円未満の商品を輸入する際、消費税や関税が非課税となるか大幅に軽減されてきました。この仕組みを利用して、TemuやSHEIN、AliExpressなどの中国系ECプラットフォームは、中国から直送する「個人輸入代行」という形式をとることで、実質的に無税に近い状態で商品を販売してきたのです。

財務省の方針では、今後は個人輸入品についても通常の輸入品と同じ基準で課税される見込みです。これにより、消費税と関税の両方が商品代金に上乗せされることになり、中国系ECの価格競争力は大きく削がれることになります。

進む世界的な規制強化――日本だけの問題ではない


実は、この規制強化の動きは日本に限った話ではありません。米国ではトランプ大統領が2025年2月に、800ドル(約11万3600円)以下の小口輸入を免税する「デミニミス・ルール」の撤廃を大統領令で発動しました。欧州連合(EU)も2021年7月に、従来は22ユーロ(約3000円)未満なら付加価値税(VAT)が免除されていた制度を廃止し、全ての少額輸入品に課税する方針に転換しています。

「ようやく国内企業が救われるのかもしれない」
「中国ECで買い物してた人たちは値段がぐっと上がるんだろうな」
「でも海外の同じ商品と比べてもまだ安そうな気がする」
「国内業者との価格差がここまであるのはおかしい。当然の措置」
「タイミング的にトランプ関税の影響もあるのかな」

東南アジア市場でも規制の動きが広がっており、インドネシアは2023年9月にSNS販売の規制を強化してTikTok Shopの営業停止に追い込みました。各国政府が「デフレ輸出」と呼ぶ現象への警戒感を強めていることを示しています。

国内小売業への深刻な打撃――なぜここまで価格差が生まれたのか


中国系ECサイトと国内小売業者の価格差は極めて劇的です。同じ商品でも、国内の正規小売店で購入する場合と中国系ECで購入する場合では、最大で数十パーセント以上の開きが生じています。これは単なる「安い製造」の話ではなく、税制上の不公平さが大きな要因です。

国内の小売・卸業者は、店舗運営費、人件費、適正な輸入手続き、そして正規の消費税・関税を全て負担して商品を販売しています。一方、中国系ECは中国から直送するだけで、個人輸入という名目により大部分の税負担を逃れてきました。この構造的な不公正が、国内産業に計り知れない被害をもたらしてきたのです。

国内アパレル企業の中には、このあからさまな価格競争の前に赤字を余儀なくされ、事業規模の縮小を強いられた企業も少なくありません。

規制導入のタイミングと国際的背景


日本の規制強化は、米国やEUの動きと時期を同じくしています。米国ではデミニミス・ルール廃止によってTemuとSHEINは4月25日から米国向け商品の値上げを発表。同時に大規模なデジタル広告費の削減も発表しており、中国系EC自体が経営環境の変化に直面しています。

欧州のIOSS制度(輸入ワンストップショップ制度)は、従来の免税措置廃止と同時に、EC事業者の負担軽減を図るための仕組みとして導入されました。日本の新制度がどのような形態をとるかはまだ不透明ですが、国内事業者との競争条件を等しくするという基本理念は同じです。

実装時期と今後の展開――企業と消費者への影響


財務省は現在、制度廃止に向けた調整に入っている段階で、施行時期は2025年度の税制改正で正式決定される見込みです。多くの企業が対応準備を迫られることになります。

消費者層にとっては、中国系ECの商品価格が上昇する可能性が高いです。ただし、そうなれば国内企業との価格競争環境が改善され、国内で生産される商品や小売業の競争力が相対的に向上することも予想されます。

また、この規制強化は単なる「保護主義」ではなく、国際的なレベルプレイングフィールドの構築という側面も強くあります。米国やEUの同様の規制と足並みを揃えることで、日本も国際的な商取引ルール改善の流れに参加することになるのです。

不公正な競争条件の是正へ


個人輸入品の税優遇廃止は、数年来にわたる国内産業からの悲鳴に応える形での施策です。TemuやSHEINなどの中国系ECが急速に日本市場を席巻してきたのは、商品が安いだけでなく、制度上の抜け穴を悪用してきたという側面が否定できません。

財務省の決断は、税制における基本原則である「国内事業者と外国事業者の税負担公平性」を取り戻す試みといえます。同時に、米国やEUの政策との整合性を図ることで、デジタル化した21世紀の商取引ルールを国際的に標準化していく動きの一環でもあります。規制導入までの期間は数ヶ月に限られると予想されるため、国内企業の経営体質強化がより一層急務となっています。

コメント: 1件

2025-11-03 11:39:55(植村)

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上記の片山さつきの活動をどう思いますか?

コメント

確かに。送料も含めて全て仕切り直した方が良い。いつまでも発展途上国ぶって恩恵をウケているのはおかしい。

2025年11月4日 17:14 たこ焼き

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