2025-11-09 コメント投稿する ▼
黄川田北方担当相に立憲・小西議員が辞職要求 「外国に近い」発言で政府見解と矛盾 過去の失言も問題視
立憲民主党の小西洋之参院議員(53)が11月9日までに自身のXで、高市内閣の黄川田仁志沖縄北方担当相による北方領土をめぐる発言について「あまりにも論外の発言。辞職すべきだろう」と強く批判した。黄川田担当相が8日の視察で北方領土を指して「外国に近い」と発言したことが、政府の公式見解と食い違うとして波紋が広がっている。
「外国に近い」発言の詳細
問題となった発言は、黄川田担当相が11月8日に北海道根室市の納沙布岬を就任後初めて視察した際に起きた。対岸に北方領土の歯舞群島などがくっきりと見える状況で、記者団に感想を求められた黄川田氏は「一番やっぱり外国に近いところですから。それをやっぱり目で感じるっていうのが大切だ」と述べた。
納沙布岬は本土最東端に位置し、最も近い貝殻島までは約3.7キロメートルの距離にある。当日は天候が良く、北方領土の島々がはっきりと確認できる状況だった。黄川田氏はさらに「やっぱり若い人たちになるべく足を運んでもらって、この距離感をしっかりと見てほしい」と続けた。
しかし、この「外国に近い」という表現は、「北方領土は日本固有の領土」であり、ロシアによる不法占拠が続いているとする政府見解と明らかに矛盾する。外務省によると、北方領土は1945年にソ連に占領されて以来、現在もロシアによる不法占拠が続いているが、日本の立場では「固有の領土」として返還を求めている。
元島民らへの釈明と言い訳
発言が問題視されると、黄川田氏はその後の元島民らとの懇談で釈明に追われた。「誤解を与えたとするならば、今後はちゃんと注意しながら閣僚として責任ある言葉を発していきたい」と述べた。
関係者によると、黄川田氏は元島民に対し「直前に石垣市長から『根室市は外国からの玄関口だ』と聞いていて、流れで言ってしまった」などと弁明したという。視察に同行していた石垣雅敏根室市長から「根室市は海外へのゲートウエーだ」との説明を受けていたとして、「話の延長線上で答えた」と説明した。
記者団から発言の真意を問われると、黄川田氏は「私はここに5回も来ている。北方領土はわが領土だ。そこは間違いない」と強調した。自身の発言について「北方領土が目に見えるような活動が大切だという趣旨で話した」と釈明している。
小西議員の厳しい批判
この発言を受けて、立憲民主党の小西洋之参院議員がXで強い批判を展開した。小西氏は該当記事を引用し「あまりにも論外の発言。辞職すべきだろう」と断言した。
小西氏は自身の経験も踏まえて批判を強めた。「かつて、沖縄北方特別委員長を務めた際には、就任直後から北方領土の歴史の詳細、関係法令、政府答弁等々を懸命に読み込み、不明な点はレクを受けるなどしました」と記し、担当大臣としての準備不足を暗に批判した。
小西氏は参院議員として沖縄北方問題に深く関わってきた経歴があり、北方領土問題の複雑さや政府見解の重要性を熟知している。そうした立場から見て、黄川田氏の発言は看過できないものと判断したとみられる。
黄川田氏の過去の問題発言
黄川田氏は2012年に衆院初当選し、今回が初入閣となる。しかし、過去にも不適切な発言で物議を醸したことがある。2025年9月には、高市氏が自民党総裁選への立候補を表明した記者会見で司会を務めた際、質問した記者を指名する際に「顔が濃い方」「顔が白い、濃くない方」などと表現し、高市氏がその場で「なんてことを言う。すいません」と謝罪する場面があった。
黄川田氏はこの件についても後日「不適切な表現だった。不快に思われた皆様や記者の皆様に謝罪したい」と謝罪している。今回の北方領土発言と併せて、閣僚としての資質や言葉の選択について疑問の声が上がっている。
国民の反応と政治的影響
この発言をめぐって、国民からは様々な反応が寄せられている。
「北方担当相がこんな発言するなんて信じられない。本当に勉強不足だと思う」
「小西さんの批判は正しい。政府見解と違うことを言うなら大臣をやめるべき」
「言葉の選び方が悪すぎる。もっと慎重に話すべきだった」
「過去の失言もあるし、この人は閣僚に向いていないのでは」
「北方領土問題は非常にデリケートな問題。軽々しく発言していい話ではない」
この発言は高市政権にとっても痛手となる可能性がある。北方領土問題は日本の主権に関わる重要な外交案件であり、政府の統一見解を閣僚が軽視したと受け取られかねない。特にロシアとの関係が悪化している現在、政府内の意見統一は極めて重要とされている。
外交・安全保障への懸念
黄川田氏の発言は、日本の外交政策にも影響を与える可能性がある。北方領土問題は日露関係の根幹に関わる問題であり、政府高官の発言一つが外交交渉に影響することもある。
特に現在はロシアによるウクライナ侵攻により日露関係が極度に悪化しており、北方領土での墓参や交流事業も中断されている。このような状況下で、担当大臣が政府見解と異なる発言をすることは、日本の立場を弱めかねないとの指摘もある。
また、元島民や返還運動関係者にとっても、担当大臣の発言は重要な意味を持つ。長年にわたって故郷への帰還を願い続けている元島民らの心情を考慮すれば、より慎重な言葉選びが求められていた。
今回の問題は、単なる失言を超えて、政府の北方領土政策への信頼性や、黄川田氏の閣僚としての適格性を問う重大な問題として発展する可能性がある。