2025-08-02 コメント投稿する ▼
東京都の若年被害女性支援事業で不祥事相次ぐ 公金管理の甘さとチェック体制に疑問
支援を名目に委託された団体で不祥事続出
東京都が性暴力やDVなどに悩む10~20代の女性を支援するために2018年度から実施してきた「若年被害女性等支援事業」。国のモデル事業としてスタートしたこの取り組みが、支援どころか不祥事の温床となっている。相次ぐ会計不正、そしてついには違法薬物事件にまで発展した。
最初に問題が表面化したのは2022年。事業の委託先であった一般社団法人Colabo(コラボ)に対し、会計報告の不正が指摘され、同年11月に住民監査請求が出された。これを受けて都の監査委員が再調査を実施し、結果として192万円の支出が「事業経費とは認められない」と判断された。
コラボは領収書の提示が一部なされておらず、都は改善指導を行ったものの、「委託料に過払いはない」として返還請求は見送られた。この対応には市民の間でも、「甘すぎるのではないか」と疑問が広がった。
「若い女性を支援するって言っておいて会計不正って、最悪」
「事業経費じゃないなら普通返金させるでしょ」
「税金を何だと思ってるんだ」
「行政も一枚噛んでるんじゃないかと疑ってしまう」
「支援される側より支援団体が“守られてる”感じがしてイヤ」
複数団体に監査実施も、抜本的な改善なし
問題はColaboだけにとどまらなかった。「若草プロジェクト」「BONDプロジェクト」「ぱっぷす」といった他の委託事業者にも監査が実施されている。結果的に監査請求は棄却されたが、都の監査事務局は事業運営に関する「指導の徹底」を求めた。つまり、何らかの問題があったことを暗に認めた形だ。
一連の事態を受け、都は2023年度から事業の形態を「補助事業」に変更。これにより、事業者が主体となって申請し、必要経費の一部を補助する形式へと変わった。だが、事業形態の変更によってすべてが改善されたわけではない。
補助金の使途については、いまなお住民訴訟が継続中であり、公金の透明性や事後検証体制に疑問が残る状態だ。
麻薬事件で浮き彫りになった体制の欠陥
さらに深刻な事件が起きたのが2025年5月。2023・2024年度の補助事業者に採択されていた「公益社団法人日本駆け込み寺」の前理事で前事務局長の田中芳秀容疑者が、麻薬および向精神薬取締法違反で現行犯逮捕された。女性支援を掲げながら、自らは違法薬物に手を染めていたという事実に、市民の衝撃は大きい。
この件を受けて内閣府は、公益法人認定法に基づく「勧告」を出し、団体に対して再発防止策の策定と実施を命じた。東京都も交付金の決定を取り消し、総額2,355万7,000円の返還命令を出すという異例の対応を取らざるを得なかった。
とはいえ、事件が起きるまでそのリスクを見抜けなかった都の責任も問われている。
支援の名を借りた“事業利権化”の実態
性暴力や家庭内暴力といった社会的弱者の問題は、政治や行政が真剣に取り組まねばならない課題だ。だが、そうした崇高な目的の裏で、支援団体による公金の杜撰な管理や、チェック機能の欠如によって、制度そのものが信頼を損なう事態に至っている。
石破政権は「女性支援の強化」を掲げてはいるが、実際に起きているのは“名ばかり支援”とも言える公金の私物化だ。公益団体やNPO法人に対して、ガバナンス強化や厳格な選定基準が求められていることは明らかである。
また、行政側の責任も重い。委託・補助にあたっての事前審査、実施中のモニタリング、終了後の監査といった各段階において、形式的なチェックにとどまっていたのではないか。都は「改善指導」や「返還命令」で対応したつもりかもしれないが、失われた信頼を取り戻すには、制度そのものの再設計が不可欠だ。
支援されるべきは、制度を利用する“側”であって、制度を“使っている”側ではない――この原則を今一度、行政が胸に刻むべきである。