2025-07-27 コメント投稿する ▼
多摩川バーベキューごみ問題が深刻化 外国人利用急増で「無法地帯化」懸念と啓発の模索
多摩川のバーベキューごみ問題が深刻化 増える外国人利用者とすれ違う「マナー」
東京都青梅市の多摩川沿いで、バーベキューやキャンプを楽しむ人々の増加が、地域に新たな課題をもたらしている。特に近年は外国人の利用が急増し、放置ごみや無許可キャンプ、トラブルなどが相次ぐ中、地元ボランティアや自治体は対応に苦慮している。青梅市や清掃活動に関わる人々からは、現場の変化に対する戸惑いと対策への模索が聞かれる。
「多国籍テント村」化する釜の淵公園
7月中旬、青梅市の釜の淵公園近くの多摩川河原には、週末を中心に多くのバーベキュー客が集まっていた。そのうちおよそ9割が外国人とみられ、バングラデシュ、ネパール、インド、東南アジアや中東出身とみられる人々の姿が目立つ。
装備は簡素で、生活の延長のようなスタイル。調理器具や食材を持ち寄り、川辺でくつろぎながらの団らんが広がる。あるグループは「テントに行けば同郷の人と会えるから、ここに泊まり、そこから出勤する人もいる」と話す。
しかし、こうした風景の裏で、ごみ問題が深刻化している。
放置されたごみ、警察沙汰も
清掃ボランティアとして活動する柴田大吾さんは「ここ2〜3年なかったほどのごみが6月以降急増している」と指摘。バーベキューコンロの放置、段ボールごみ、燃やされたプラスチックの跡など、痕跡は枚挙にいとまがない。
さらに問題はごみにとどまらない。取材当日には外国人グループ同士のトラブルが発生し、1人が金串で刺される事件も。警察官10人以上が出動する騒動となった。
こうした状況に、現場でごみの呼びかけを行う環境美化委員のボランティアたちも「身の危険を感じて直接注意できない」と不安を語る。
川辺の文化、失われゆくマナー
かつてこの河原は「知る人ぞ知る」静かなキャンプスポットだった。利用者の間には「ごみは持ち帰る」が暗黙のルールとして根づき、マナーの維持は自浄的に行われていた。
だがコロナ禍以降、アウトドアブームと情報拡散によって一気に利用者が増加。外国人も多く訪れるようになり、「ルールを知らない新参者」がマナーの継承を断絶させた格好だ。柴田さんは「ルールを知らないだけかもしれない。文化の違いも大きい」と、頭を悩ませている。
市民の声も交錯する。
「外国人を排除するつもりはないけど、マナーは守ってほしい」
「ごみを片付けるネパール人グループを見て感動した」
「不心得者が一部でもいれば、イメージは悪くなる」
「日本人も昔は花見で散らかしてたよ。人の問題」
「注意したくても言葉が通じないのが一番つらい」
川崎市の先行例に学べるか
実は20年ほど前にも、神奈川県川崎市で同様の問題が発生していた。多摩川沿いの二子橋周辺では、ごみ投棄が深刻化。2011年には市が「バーベキュー適正利用計画」を策定、有料BBQ場を設置し、24時間体制の見回りを導入したことで、一定の効果をあげた。
しかし柴田さんは「川面から見ると、いまだにごみは多い」と実感を語る。「制度や取り締まりだけで完全に解決するのは難しい」とも。
共存の道を探る啓発と対話の必要性
問題の根本にあるのは、ごみを出すことそのものではなく、「誰が、どうやって、マナーやルールを伝えるか」という構造の欠落だ。市が看板を出しても読まれなければ意味がない。ボランティアが声をかけたくても、言語・文化・治安の不安が壁となる。
一方、大半の外国人グループはきちんとごみを持ち帰っている。「家で分別して捨てる」というネパール人たちの言葉に、むしろ意識の高さを感じる場面もあった。
青梅市では今年度、実態調査を開始。今後は自治体が言語対応を含めた啓発活動やルール共有の方法を検討し、「外国人排除」ではなく「マナーの共有」に重点を置く施策が求められる。
柴田さんは言う。「ほんの一部のマナー違反のせいで、誰もが楽しめる河原が閉鎖されるのは避けたい。多摩川は日本人だけの場所ではない。だからこそ、全員で守る意識が必要です」