2026-01-30 コメント: 1件 ▼
全国知事会・阿部守一の一極集中論に小池百合子反論、協議体で税制議論へ
発端は阿部氏が2026年1月29日の会見で、人口減少が進む中で若者の流出と税収の偏在が続くとして、政府が税制を含む制度設計を組み立て直す必要があると訴えたことです。 直近の年間データでは、東京都は2024年に転入超過が7万9285人となり、前年から増えました。
東京一極集中と税偏在をめぐる火種
東京都知事の小池百合子氏は2026年1月30日の定例会見で、東京への人口・税収集中を問題視した全国知事会会長の長野県知事・阿部守一氏の発言に反論しました。発端は阿部氏が2026年1月29日の会見で、人口減少が進む中で若者の流出と税収の偏在が続くとして、政府が税制を含む制度設計を組み立て直す必要があると訴えたことです。
阿部氏の問題意識は、進学や就職の節目で企業や大学が集まる東京圏へ人が動く構図が長く変わらず、地方の担い手が細っていくという危機感にあります。人口減少社会に入った今、流出が続けば行政サービスの維持や地域産業の継続が難しくなるという主張です。
一方、小池氏は人口集中は東京都だけでなく大阪などの大都市でも起きているとし、東京だけを矢面に立たせる議論は実態を外すと指摘しました。加えて、東京都の税収の伸びは限定的だとして、東京が「潤沢で余っている」という印象に基づく議論へくぎを刺しました。
「東京ばかり悪者にされるのは納得できない」
「地方が元気になるなら東京も応援したい」
「税金の取り合いじゃなくて成長の話をしてほしい」
「国が決めないまま時間だけ過ぎた気がする」
「少子化も一極集中も、もう待てない」
数字で見る人口集中、争点は「流れ」を変えられるか
人口の動きは、感覚論ではなくデータでも裏付けられています。直近の年間データでは、東京都は2024年に転入超過が7万9285人となり、前年から増えました。
東京都がまとめた同年の都外との移動では、転入者数が46万1454人、転出者数が38万2169人で、差し引き7万9285人の転入超過です。東京圏全体でも転入超過が続き、若年層ほど大都市へ動きやすい構造が残っています。
この「人の流れ」は、そのまま「税の流れ」に近づきます。企業活動や雇用が集中すれば法人課税や個人課税の基盤が厚くなるため、地方側には偏在感が生まれやすく、東京側には負担だけが強調される反発が生まれやすい構図です。
小池氏が強調した「30年決めなかった」論点
小池氏が会見で強い言葉を使ったのは、政策の中身よりも意思決定の停滞そのものです。小池氏は、地方分権が政治の主要テーマとして語られてきたのは30年以上前だと振り返り、1990年の少子化の警鐘「1.57ショック」も踏まえつつ、結局はこの30年間に国が大きな決断を積み重ねてこなかったことが問題だと述べました。
この指摘は、東京一極集中を「東京の責任」に収れんさせず、国の制度設計の遅れに焦点を当てるロジックです。地方が求めるのは税制の見直しだけではなく、働く場、教育機会、交通と医療、子育て支援がそろった生活の選択肢を増やすことでもあります。
ただ、国の制度を変える議論は、分配の線引きに入りやすく合意形成が難しいのが現実です。小池氏の「決めなかった」という言い回しは、その難しさを理由に先送りを続けた政治への批判として受け止められます。
協議体の創設、論争を「実務」に落とせるか
小池氏は2026年1月22日に内閣総理大臣の高市早苗氏と会談し、少子化や地方税制などを国と東京都で話し合う「協議体」を創設することで合意しています。高市氏は自由民主党(自民党)の総裁でもあり、国の側の意思決定をどう前に進めるかが問われます。
協議体が実効性を持つには、議論のテーマを「東京から地方へ」か「地方から東京へ」かの配分論に閉じず、出生数の底上げ、若者の定着、企業投資の分散など、測れる目標と期限を置くことが欠かせません。税制に手を入れるなら、地方の稼ぐ力を伸ばす政策とセットにしないと、単なる財源の付け替えになりかねません。
東京一極集中の是正は、誰かを責めて終わる話ではなく、国と自治体が工程表を作り、評価して修正する実務に落とし込めるかどうかにかかっています。小池氏と阿部氏の応酬は、制度設計を巡る議論を再始動させるきっかけになるのかが焦点です。