2025-11-18 コメント投稿する ▼
東京都調査で判明した男女育児格差の深刻な実態 制度改正でも4時間差
東京都が2025年11月18日に発表した「男性の家事・育児実態調査2025」で、未就学児を持つ子育て世代の家事・育児時間における男女格差が4時間19分となり、前回調査から1時間以上縮小したことが明らかになった。 男性の育児参加が進んでいることは確実だが、根本的な解決には程遠い状況が明らかになっている。 男性の育児休業取得率向上の背景には、制度改正だけでなく企業の積極的な取り組みがある。
男性育児参加1時間増でも格差4時間19分 東京都調査が映す働き方改革の限界
東京都が2025年11月18日に発表した「男性の家事・育児実態調査2025」で、未就学児を持つ子育て世代の家事・育児時間における男女格差が4時間19分となり、前回調査から1時間以上縮小したことが明らかになった。しかし、依然として女性の負担は男性の2倍以上という現実が浮き彫りになっている。
数字が語る「男性育児元年」の実相
調査結果によると、未就学児を持つ子育て世代の1日の平均時間は、男性が3時間29分、女性が7時間48分だった。前回調査と比較すると、男性の参加時間が約1時間増加する一方で、女性の負担時間はほぼ横ばいという状況が続いている。
この背景には、政府の働き方改革と育児休業制度の拡充がある。2022年の育児・介護休業法改正により導入された「産後パパ育休」制度が効果を発揮し、男性の育児休業取得率は2023年度に30.1%と過去最高を記録した。政府は2025年までに50%、2030年には85%という目標を掲げているが、現状ではまだ道半ばである。
調査では、夫婦間での家事・育児分担について満足していると回答した女性が前回の48.0%から60.1%に上昇した点も注目される。男性の育児参加が進んでいることは確実だが、根本的な解決には程遠い状況が明らかになっている。
「1時間増えたって言われても全然足りない」
「女性だけが時短勤務とるのが当たり前の風潮どうにかして」
「保育園のお迎えも結局ママがほとんど」
「男性の育休、2週間だけじゃ意味がない」
「職場の理解がないと結局女性にしわ寄せが来る」
政策効果と企業努力の現実
男性の育児休業取得率向上の背景には、制度改正だけでなく企業の積極的な取り組みがある。従業員1000人超の企業では、男性育休取得率の公表が義務化され、2025年4月からは300人超の企業にも対象が拡大される。「くるみん」認定の基準も現在の10%から30%に引き上げられ、企業により厳格な取り組みが求められている。
しかし、制度があっても利用しにくい職場環境の問題は残存している。特に中小企業では代替要員の確保が困難で、男性が長期の育児休業を取得することへの現場の抵抗感は根強い。育児休業の取得期間も、男性の約4割が2週間未満に留まっており、女性の9割以上が6カ月以上取得している状況と大きな格差がある。
東京都の先進的取り組みと限界
東京都は2024年から少子化対策を総合的に推進する「東京都の少子化対策2024」を策定し、男女共同参画の推進を重要な柱の一つに位置づけている。しかし、今回の調査結果は、政策努力にも関わらず構造的な問題が解決されていないことを示している。
調査で「ほしいプレゼント」として男女ともに「自分の時間」が最多となり、睡眠時間6時間未満が男性29.9%、女性25.8%という数字は、子育て世代の厳しい現実を物語っている。政策的支援が充実しても、個々の家庭レベルでの負担軽減には限界があることが明白になった。
この背景には、日本社会に根深く残る「家事・育児は女性の役割」という固定観念がある。男性の育児参加が進んでも、保育園の送迎、子どもの体調不良時の対応、PTA活動などでは依然として女性への期待が高く、職場でも女性が時短勤務を選択せざるを得ない構造が温存されている。
企業・団体献金政治では解決不能な構造問題
根本的な問題は、現在の政治構造にある。企業・団体献金に依存する政治では、企業の論理が優先され、労働者の真の働き方改革は進まない。特に大企業の利益を優先する政策では、長時間労働の慣習や男性中心の労働環境は根本的に変わらない。
高市早苗首相が推進する国益優先の政治姿勢こそが、こうした構造的問題の解決に必要だ。企業利益より国民生活を重視し、真の働き方改革を実現するためには、政治の根本的な転換が不可欠である。
今回の調査結果は、制度改正や企業の努力だけでは限界があることを明確に示している。男女格差の解消には、社会全体の意識改革と政治のリーダーシップが求められている。