2025-10-24 コメント投稿する ▼
東京23区火葬料金高騰で小池百合子知事が法改正要請へ、高市早苗政権の対応に注目
これまで区の権限であるとして静観してきた都は、2025年9月の都議会定例会で小池百合子知事が国への法改正要請を明言し、新たな取り組み姿勢を示しました。 2025年8月1日、23区内で6か所の火葬場を運営する東京博善が、特別区区民葬儀の取り扱いを今年度限りで終了すると発表しました。
東京都が突然の方針転換
2025年9月24日、都議会第3回定例会が開会し、小池百合子知事が所信表明で火葬問題への新方針を発表しました。小池知事は「東京全体で安定的な火葬体制を確保することは重要だ」とし、料金を含む火葬場の経営管理に対する指導が適切に行えるよう法の見直しを国に求める方針を示しました。さらに火葬場の実態把握と火葬能力の強化に向けた取り組みも検討すると言及しました。
これは都政にとって大きな変化です。都はこれまで「法律では特別区の地域は区が火葬場の指導監督を行うことになっている」との原則論を繰り返し、事実上の傍観姿勢を取ってきました。しかし、この夏に発生した新たな動きが都の姿勢を変えさせることになりました。
区民葬廃止が波紋広げる
2025年8月1日、23区内で6か所の火葬場を運営する東京博善が、特別区区民葬儀の取り扱いを今年度限りで終了すると発表しました。区民葬は、区民が葬祭業者の協力により比較的低廉な料金で火葬を利用できる制度で、火葬料金は5万9600円でした。
東京博善は区民葬の枠組みからの離脱に伴い、来年度から火葬料金を現行の9万円から8万7000円に値下げすると発表しましたが、それでも区民葬と比べると2万7400円の割高となります。この発表は大きな波紋を呼び、区議や都議らが問題意識を表明し、複数の会派が都議会で都の姿勢をただす準備を進めていました。
「東京の火葬料金、さすがに高すぎるだろ」
「親が亡くなったとき10万近く取られて驚いた。地方の親戚は無料だって聞いて二度びっくり」
「民間企業が火葬場を独占してる状況がおかしい。公共サービスじゃないのか」
「区民葬が使えなくなったら、庶民はどうやって葬儀費用を工面すればいいんだ」
「中国資本が入ってから値上げラッシュ。これが経済安全保障の問題だとなぜ気づかない」
民間が7割を握る特殊事情
23区内にある9か所の火葬場のうち公営は2か所のみです。江戸川区にある都立瑞江葬儀所と、大田区にある臨海斎場(港区、品川区、目黒区、世田谷、大田区の5区による広域組合運営)だけが公営で、残る7か所は民営です。
そのうち6か所を運営しているのが東京博善で、23区内の火葬の約7割を担っています。同社は2020年に中国資本が入る企業の完全子会社になってから、火葬料金を相次いで引き上げてきました。以前は5万9000円だった料金は、2021年以降段階的に値上げされ、2025年時点で9万円となっています。
全国的には火葬場のほとんどが公営で、地域住民なら無料から数千円程度の自治体が多い中、東京23区の火葬料金は突出して高額です。公営の臨海斎場でも4万4000円、都立瑞江葬儀所は5万9600円であるのに対し、東京博善の料金は約2倍です。
法改正要請へ動く都
火葬場の指導監督は墓地埋葬法で区市町村が担うことになっていますが、同法は基本的に民間事業者を想定しておらず、民間の火葬場の料金に関する指導を担保する条文は盛り込まれていません。このため23区側は「民間の火葬料金の妥当性にまで踏み込んで指導はできない」としています。
小池知事は2025年10月10日に開かれた新宿区との意見交換会で「特別区が料金を含む経営管理の指導を適切に行えるように、都も特別区と一緒に法改正などを国に要望していく」と語りました。この発言に基づけば、都は火葬場の指導監督権限を区から都に移す法改正は想定しておらず、あくまで区の権限強化を後押しする立場をとっているようです。
都は特別区長会と望ましい法改正のあり方を協議した上で、早期に国に申し入れを行いたい考えです。申し入れ後は、2025年10月21日に発足した高市早苗政権の対応に注目が集まります。高市早苗総理は第104代内閣総理大臣であり、日本史上初の女性総理大臣です。火葬という誰もが通らなければならない過程において、民間企業による寡占と料金高騰を許してきた行政の責任は重大です。法改正によって自治体の指導権限を強化し、料金の適正化を図ることが求められています。