2025-10-17 コメント投稿する ▼
小池都知事が副首都構想けん制、立川防災拠点で十分と主張
日本維新の会が自民党との連立入りの条件として掲げる副首都構想をめぐり、小池百合子東京都知事が2025年10月17日の定例記者会見で強くけん制しました。 維新が副首都構想を重視する背景には、過去2度の住民投票で否決された大阪都構想の実現に向けた布石があると指摘されています。
立川の防災拠点を強調
副首都構想は、災害時に首都中枢機能のバックアップを担うというものです。維新の吉村洋文代表は自民党との政策協議で、東京一極集中の是正と災害時の首都機能代替を目的に、副首都の法制化を求めています。
これに対し小池氏は会見で、しっかりと首都を守っていくという対応は、かねてより行っていると明言しました。小池氏は立川市に設置された国の大規模な防災拠点を例に挙げ、都としても立川地域防災センターの改修や改善を進めていると説明しました。
立川広域防災基地は、首都直下地震などの大規模災害発生時に、空輸による人員や物資の緊急輸送拠点として機能します。内閣府の災害対策本部予備施設が置かれており、首相官邸が使用不能になった場合、内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部が立川に設置される仕組みです。
「副首都って大阪のことでしょ、東京には関係ない」
「立川にすでに防災拠点があるのに、なぜ副首都が必要なのか」
「維新の副首都構想は大阪都構想の焼き直しに見える」
「小池知事の言う通り、東京は防災対策を十分やっている」
「副首都構想より、立川の防災拠点を強化した方が現実的だ」
政治空白への苦言
小池氏が強い懸念を示したのは、首相指名選挙の遅れです。自民党総裁選で高市早苗氏が当選した後、維新や国民民主党との連立協議が続き、首相指名選挙の実施が遅れています。
小池氏は、こういう時、舞台回しをする人が仕切るということがあるが、今回は姿が見えないと指摘しました。さらに、重要な国際会議が控える中で新閣僚らがバタバタと駆けつける形になることに対し、そういうさまを海外の方に見せるということで、国益を損じるのではないかと強い懸念を表明しました。
維新の思惑と東京の反発
維新が副首都構想を重視する背景には、過去2度の住民投票で否決された大阪都構想の実現に向けた布石があると指摘されています。副首都構想では、副首都を道府県単位で首相が定め、税源移譲などの特例措置を講じて東京一極集中を是正することが盛り込まれています。
しかし、東京都は既に立川地域防災センターを設置し、多摩地域の防災活動拠点として機能させています。同センターは東京都防災センターの指揮のもとに、国や市町村など現地の防災機関と情報連絡や調整を実施する体制を整えています。
立川広域防災基地の敷地面積は約115ヘクタールで、滑走路を持つ立川飛行場、国立病院機構災害医療センター、陸上自衛隊立川駐屯地などが集約されています。国営昭和記念公園とも隣接しており、物資集積や避難場所としても活用可能です。
小池氏の発言は、維新が主張する副首都構想に対する東京都の強い反発を示すものです。東京都としては、新たに副首都を設置するよりも、既存の立川防災拠点を充実させることで首都機能のバックアップは十分に可能だという立場を明確にしています。
連立協議の行方
自民党は2025年10月16日、維新との政策協議に着手しました。維新は副首都構想と社会保障改革を2本の柱として自民党側に申し入れています。高市氏は維新の吉村代表との会談で、副首都構想に一定の理解を示したとされています。
しかし、副首都構想の実現には多くの課題があります。具体的にどのような機能を移すのか、法案には明記されていません。また、東京都や他の自治体との調整も必要です。
首相指名選挙は当初、2025年10月20日に実施される予定でしたが、与野党間の調整が難航し、21日に延期される見込みとなっています。小池氏が指摘するように、政治空白の長期化は国益を損なう恐れがあります。
維新が連立入りの条件として副首都構想の実現を求める中、東京都知事である小池氏のけん制は、構想の実現に向けた大きなハードルとなりそうです。都道府県のトップが明確に反対する政策を、国政レベルで推進することの難しさが浮き彫りになっています。