2025-09-30 コメント投稿する ▼
小池百合子都知事、火葬料金高騰に対応へ 都内全火葬場の実態調査を表明
東京都の小池百合子知事は10月30日、都議会本会議で火葬料金の高騰問題に対応するため「都内全ての火葬場の火葬能力を今年度中に調査する」と明言した。 火葬場は都民生活に不可欠なインフラである一方、多くが民営運営であるため価格高騰が目立っている。 東京23区の火葬場は大半が民営であり、近年料金の引き上げが続いている。
火葬料金調査に踏み切る東京都
東京都の小池百合子知事は10月30日、都議会本会議で火葬料金の高騰問題に対応するため「都内全ての火葬場の火葬能力を今年度中に調査する」と明言した。火葬場は都民生活に不可欠なインフラである一方、多くが民営運営であるため価格高騰が目立っている。知事は「国に対し、行政が火葬料金を指導できる法改正を要望する」と述べ、国政に制度改革を求める姿勢を鮮明にした。
小池知事は9月24日の所信表明演説でも「実態を精緻に把握した上で能力強化を検討する」と述べており、今回の答弁で具体化の方向性を示した形だ。今後は調査結果を踏まえ、公営火葬場の炉増設や新設の是非を議論するとみられる。
高まる住民の不安と負担
東京23区の火葬場は大半が民営であり、近年料金の引き上げが続いている。都内では大人1体で9万円を超える施設もあり、公営施設の約4万〜6万円台と比べ大きな差がある。燃料費や修繕費の上昇も背景とされるが、利用者からは強い不満の声が相次いでいる。
「死ぬにもお金がかかる時代になった」
「都民なのに公営の利用枠が限られていて困る」
「親の葬儀費用が予想以上に高く、借金を検討した」
「区民葬の制度が縮小され、経済的に厳しい」
「火葬場の料金が公共料金並みに安定してほしい」
こうした声は、生活者にとって火葬料金がもはや日常の家計問題と直結していることを示している。特に低年金世帯や単身高齢者にとって負担は重い。
制度的課題と法改正の必要性
火葬場の料金は現行法に明確な規制がなく、自治体は直接的な価格指導ができない。厚生労働省は「適正な運営」を通知しているものの、実効性を伴う法的裏付けには至っていない。こうした制度的制約が、民営施設における料金設定の自由度を高めている。
小池知事が求める法改正は、行政に料金是正の権限を与えることが狙いだ。実現すれば、公共料金に近い安定性を確保する道が開かれる。ただし、国会での議論や他自治体との調整が必要であり、実現までには時間を要するだろう。
負担軽減への今後の展望
調査では火葬炉の稼働率や維持コスト、地域ごとの利用実態などを把握する見込みだ。その結果を基に、公営施設の増設や補助制度、料金補填策など多様な手段が検討されるとみられる。
区民葬制度など過去に存在した低料金枠は縮小傾向にあり、民間最大手の火葬場では近く制度取扱いを終了する計画も報じられている。都民の負担軽減策を再構築しなければ、利用者の選択肢はますます狭まる可能性がある。
火葬料金をめぐる問題は、単なる葬儀費用の議論にとどまらず、都市部の人口動態、高齢化、社会保障の在り方とも直結する。小池知事の調査方針は、都民生活の安定を守るための最初の一歩といえる。