2025-11-25 コメント投稿する ▼
医療法改定案の病床削減に批判集中 「医療体制の崩壊を加速」参考人が警告
衆議院厚生労働委員会で25日、医療法改定案に関する参考人質疑が行われ、焦点となっている「病床削減」をめぐって現場から深刻な懸念が相次いだ。 自民・公明・維新が提出した修正案には病床削減を促す仕組みが盛り込まれており、医療現場からは「地域医療の崩壊を速めるだけだ」との批判が強まっている。
参考人として意見を述べた医療法人健生会の山田秀樹理事長は、過度な病床削減に対し「医療提供体制の縮小加速と患者の受療権侵害が同時に進む」と断言した。地域で必要とされる入院医療の受け皿が消えれば、外来・在宅・介護の連携まで連鎖的に崩壊するという指摘だ。
質疑に立った日本共産党の田村貴昭議員も、病床削減によって「必要な入院すらできない状況が生まれ、地域ケア全体が破綻する」と警告。山田氏はこれに応じ、地域の介護事業所の経営はすでに医療機関以上に逼迫しており、病床削減に見合う受け皿整備が追いつく見通しは全くないと語った。
議論は医師不足にも及んだ。山田氏によれば、健生会が運営する17の診療所では、定年延長や定年直前の医師が所長を務めるケースが増加しており、「高齢医師に通常勤務を頼まざるを得ない異常な状態が続いている」と説明。医師の補充ができず、経営改善も進まなければ「地域医療の最前線を担う診療所が都市部ででも立ち行かなくなる可能性がある」と危機感を示した。
海外では、コロナ禍を受けて医師増員に舵を切った例が相次いでいる。ドイツでは医師数拡大が議論され、英国や米国でも医学部定員増が進んだ。山田氏は、医療需要が増加し続ける日本で医療人材を減らす方向へ向かう現在の政策は「世界の流れに逆行している」と批判した。
さらに山田氏は、同会が持つ急性期病院の経営実態を挙げ、いまの診療報酬体系では「病床稼働率94%以上が安定経営の条件になってしまっている」と説明。本来、有事に備えて空き病床を確保すべきなのに、その余裕を完全に奪う構造が組み込まれていると訴えた。病床稼働率が80%前後でも経営が成立し、緊急時に即応できる体制を医療計画に組み込むべきだと強調した。
最後に山田氏は、医師や看護師が過剰な残業を強いられずに診療できる環境を整えるためには、ゆとりのある人員配置と、それを支える診療報酬の引き上げが不可欠だと主張した。医療法改定案がこの現実を無視し、病床削減を促す方向に進むなら、地域医療を支える基盤そのものが崩れかねない──。現場から突きつけられた問題は、極めて重い。