2025-10-04 コメント投稿する ▼
鹿児島・いちき串木野で洋上風力に反発 住民合意なき推進に懸念 田村貴昭氏が現地調査
鹿児島県いちき串木野市の照島海岸沖で進められている洋上風力発電計画をめぐり、住民の理解が十分に得られていないまま事業が進行しているとして、現地で不安の声が高まっています。 こうした声は、地元で発足した「洋上風力発電計画を考える会」に集約されています。 国は10月3日、再生可能エネルギー海域利用法に基づき、いちき串木野市沖約5キロの海域を「準備区域」に整理しました。
鹿児島で進む洋上風力計画 住民合意なき推進に懸念の声
鹿児島県いちき串木野市の照島海岸沖で進められている洋上風力発電計画をめぐり、住民の理解が十分に得られていないまま事業が進行しているとして、現地で不安の声が高まっています。日本共産党の田村貴昭衆院議員は10月4日、県と市が候補地とする海域を視察しました。平良行雄県議、福田道代元市議、にいたに友希党市生活相談室長らが同行し、地元住民から直接意見を聞きました。
「低周波や影の影響が心配です」
「住宅や学校も近く、安全が守られるのか不安」
「説明会もないまま話が進んでいるのはおかしい」
「自然と共存する再エネでなければ意味がない」
「私たちの海を誰のために使うのか、問い直してほしい」
こうした声は、地元で発足した「洋上風力発電計画を考える会」に集約されています。会の代表メンバーである五島ミエ子さん(75)は、「行政と事業者が協議を進める前に、まず地域の合意を形成すべきだ」と強調しました。
「準備区域」指定と国の方針
国は10月3日、再生可能エネルギー海域利用法に基づき、いちき串木野市沖約5キロの海域を「準備区域」に整理しました。
「準備区域」は、将来的な「有望区域」指定を視野に入れた段階とされ、地元自治体や関係者との調整を進める区域です。県は今年4月、事業化の前提となる「促進区域」指定を目指して国に情報を提供しており、国はこれを踏まえて一歩踏み込んだ形となりました。
しかし、この手続きには住民説明や環境影響評価などの十分な議論が伴っていません。いちき串木野市ではすでに3,766人分の中止署名が提出され、市民運動が広がっています。
環境影響と地域の懸念
照島海岸は観光資源としても知られ、美しい海岸線や生態系が地域の誇りとなっています。住民が懸念するのは、低周波音や「シャドーフリッカー」と呼ばれる羽根の影による影響です。
これらは風力発電施設周辺で健康被害や生活環境の悪化を訴える事例として全国で問題化しています。
また、近隣には小学校や高齢者施設もあり、地元では「安全性の検証が不十分」との声が絶えません。
専門家の間でも、海上風力の適地選定において「住民合意の欠如」が最大のリスク要因になると指摘されています。
田村氏「合意なき開発は許されない」
田村氏は現地で、「市民の理解が得られなければ事業は認められない」と明言しました。
そのうえで、「美しい海岸の景観を守り、地域の暮らしと調和した再エネを追求することが必要だ」と述べ、住民合意を最優先にすべきだと訴えました。
田村氏は国会でも、再エネ推進の名のもとに地方自治が軽視される現状をたびたび批判しており、今回の調査もその一環とみられます。
地域の現場に足を運ぶ姿勢は、中央集権的なエネルギー政策に対する対抗軸を示す動きともいえます。
再エネと地域主権の両立を問う
洋上風力発電は、二酸化炭素排出削減の切り札として注目されてきました。
一方で、地域社会との摩擦や景観破壊、漁業への影響が課題となっています。国の「グリーントランスフォーメーション(GX)」政策では、2030年までに導入拡大を目指していますが、事業が全国的に乱立すれば、地域の反発は強まる恐れがあります。
再エネの推進は目的ではなく手段であり、地域との信頼関係の上に成り立つべきです。
地元の声を無視した計画は、持続可能な開発とは言えません。
今後、鹿児島県が国とともに「促進区域」指定に踏み切るかどうかが焦点となります。市民合意の形成を待たずに進めば、全国の再エネ政策にも波紋が広がる可能性があります。