2025-04-28 コメント投稿する ▼
志位和夫議長、27年ぶり訪中 日中共産党関係改善へ対話促進 台湾情勢・核軍縮も焦点に
志位和夫議長、27年ぶりに訪中 日中共産党関係の再構築へ動き出す
日本共産党の志位和夫議長は、超党派の日中友好議員連盟(会長・森山裕衆院議員)の一員として中国・北京を訪問した。滞在期間は4月29日までで、習近平体制下の高官との会談も調整が進められている。志位氏の訪中は、日中両国の共産党関係が正常化した1998年以来、実に27年ぶりとなる。
背景:過去の核軍縮批判で冷え込んだ日中共産党関係
志位議長はこれまで、中国共産党の核軍縮に対する消極姿勢を厳しく批判してきた経緯がある。特に2000年代初頭には、「核兵器禁止条約」に否定的な態度を取った中国を名指しで非難し、日中両党の関係は著しく冷え込んだ。文化大革命の影響で一度断絶し、ようやく回復した関係が、再び緊張をはらむ状況に陥った。
今回の志位氏訪中は、その長年の対立構図に変化の兆しをもたらすかどうか注目される。日本共産党は「自主独立」の立場を堅持する一方で、東アジアの安全保障環境が激変する中、対話による関係改善に一定の意欲を示している。
台湾情勢と日本の防衛力強化、訪中の背景に緊張感
台湾情勢が緊迫化し、日本政府が防衛費を増額、敵基地攻撃能力の保有へ踏み切るなど、従来にない安全保障政策を進めている。志位氏はこうした動きを「軍拡競争の悪循環」と批判しており、今回の訪中においても、「対立ではなく対話による問題解決の重要性」を強調する方針だ。
中国側も、米中関係の悪化や経済の減速を受け、日本との関係安定化を模索している。日本共産党との関係修復は、そうした外交戦略の一環とみられる。
中国側の思惑と日本共産党の対応
中国共産党にとって、日本共産党との関係強化は、東アジア地域での対米包囲網を築く一助となる可能性がある。一方、志位氏側は、原則的立場を崩さない構えを保ちつつも、実務レベルでの協議や交流の道を探るとみられる。
日中友好議員連盟に参加している他党議員との連携も視野に入れ、単なる形式的な友好に留まらない、実質的な議論が行われるかが焦点だ。特に、人権問題や核兵器政策に関して、志位氏がどこまで中国側に踏み込んだ発言ができるかは、今後の両党関係を占う試金石となるだろう。
今回の志位和夫議長による訪中は、27年間にわたる冷却期間を経た日中共産党関係の行方を左右する重要な局面だ。台湾情勢、米中対立、日本の防衛政策といった緊迫する国際環境の中で、イデオロギーを超えた「対話の外交」が実を結ぶかどうか、国際社会も注視している。