2025-06-18 コメント投稿する ▼
手話施策推進法が成立 通訳者の処遇と養成が本当の普及の鍵になる理由
「対等な社会参加」を実現するには何が必要か
18日、衆議院本会議で「手話施策推進法」が全会一致で可決・成立した。これは、手話使用者が安心して手話を学び、活用できる環境づくりを目的とし、手話文化の保存や普及を国家的に後押しする初の包括的な法律となる。成立を求めてきた全日本ろうあ連盟は「きこえない・きこえにくい人が手話言語を用いて、きこえる人と対等に社会参加するための重要な一歩」と歓迎の声を上げている。
この法案が目指すのは、単なる福祉施策の枠を超えた、言語としての手話の尊重である。政府は今後、手話通訳者の育成や、手話に関する国民の理解促進に向けた体制整備を迫られることになる。
塩川議員「通訳者の処遇が劣悪」
13日の衆院内閣委員会では、日本共産党の塩川鉄也議員が、法案の趣旨に基づき具体的な支援策について政府の姿勢を質した。特に焦点となったのが、手話通訳者の処遇だ。
塩川氏は、2020年に厚労省が実施した実態調査に触れ、「通訳者の多くが非正規雇用であり、給与水準も低い。安心して職務に専念できる環境ではない」と問題提起。「政府は数値目標を明確に掲げ、予算を増額し、人材の計画的育成に取り組むべきだ」と強く訴えた。
これに対し、三原じゅん子障害者政策担当相は「法案の趣旨を踏まえ、障害者基本計画に反映し、厚労省とも連携して地方自治体の施策を促進する」と答弁したが、数値目標や財源確保については明言を避けた。
「非正規で生活も苦しい中で、通訳者に“公共性”ばかりを求めすぎてる」
「障害者支援って言うけど、通訳者の人権は?」
「また予算なき理想論。こういうのが続くと制度疲弊する」
法律の理念と現実のギャップ
法案は「手話が言語である」という認識に基づいて策定されているが、理念だけでは現場は変わらない。地方自治体によっては通訳者の確保が追いつかず、きこえない人が行政窓口や医療現場で十分な対応を受けられない事例も少なくない。
さらに、通訳者の育成に時間と費用がかかることも課題だ。手話通訳士の国家資格は難易度が高く、取得までに数年を要するケースも多い。これでは若手が継続的に目指しにくい構造となっている。
「法律ができても、通訳者の数も待遇も変わらないなら絵に描いた餅」
「本気でやるなら、専門学校に補助出すとかしないと無理」
制度を活かすも殺すも政治次第
現在の障害者支援施策は、給付や補助といった「点」の施策に偏りがちだ。しかし、通訳者の安定雇用や育成は、「線」として社会全体を支える基盤となる。言語の保障とは、ただ「翻訳者を置く」ことではなく、双方向の理解と信頼に基づいた社会的関係を築くことに他ならない。
こうした視点からも、通訳者への待遇改善は法の理念と直結する問題である。現行の手話関連予算は多くが自治体任せであり、国として責任ある財源措置が求められる。
真の「共生社会」を目指すなら、バラマキ型の給付金や一過性の補助ではなく、税制を含めた構造的改革こそが鍵となる。減税により個人や事業者の負担を軽減し、その分を通訳者養成や公的支援に回す選択肢も視野に入れるべきだ。
「減税して家庭に余力を。通訳のボランティア文化じゃもう限界」