2025-06-12 コメント投稿する ▼
国立女性教育会館の廃止法案可決 「ジェンダー平等の後退」と塩川氏が反対討論
国立女性教育会館の廃止に懸念 ジェンダー平等の後退を招く法案に塩川氏が反対
ジェンダー平等を推進してきた象徴的な施設「国立女性教育会館(ヌエック)」の廃止を含む独立行政法人男女共同参画機構法案・整備法案が、12日の衆院本会議で自民、公明、立憲民主、国民民主などの賛成多数により可決された。この法案は、ヌエックの研修・宿泊・体育施設の撤去を前提に、研修施設の設置義務を伴わない新法人の設立を定めるもので、女性支援の拠点としての役割が後退するとの懸念が強まっている。
反対票を投じた日本共産党の塩川鉄也議員は、本会議で反対討論に立ち、「ジェンダー平等の理念に逆行する法案だ」と強く訴えた。
市民運動の成果を解体 「ヌエックはジェンダー平等の原点」
ヌエックは、1977年に市民運動の成果として設置された、日本唯一の国立女性教育施設だ。全国の女性団体や自治体関係者、教育機関が集まり、研修・学習・交流を通じてジェンダー平等推進の拠点として機能してきた。とりわけ、地方自治体での男女共同参画行政の担い手や、草の根の市民運動をつなぐ「現場と知のハブ」として、高く評価されてきた。
しかし、今回の法案では、その存在意義ともいえる研修棟の法的設置義務が削除され、建物の撤去が前提となることで、こうした活動基盤が根こそぎ失われる危険性がある。塩川氏は「これは単なる施設の整理統合ではない。現場で実践されてきたジェンダー平等の積み重ねを壊す行為だ」と厳しく批判した。
財政理由は“言い訳” 3割削減された交付金の実態
政府はヌエックの廃止理由として「財政上の制約」を挙げているが、塩川氏は「問題の根源は、予算を大幅に削減してきた政府自身にある」と反論。事実、ヌエックに対する運営費交付金は2001年度と比べ、2024年度には3割も削減されているという。
「削っておいて『財政が苦しいから廃止する』では筋が通らない。逆に、ジェンダー平等を推進する国の責任として、必要な財政措置を講じるべきだ」と、塩川氏は政府の姿勢を厳しく非難した。
「施設はいらない」とする本音 ジェンダー政策の軽視
今回の法案で新設される男女共同参画機構には、研修施設の設置義務がない。つまり、今後、物理的な拠点を持たず、組織のみが存在する「名ばかり機構」となる可能性が高い。塩川氏は「形だけの男女共同参画を掲げるのではなく、実効性ある政策と拠点が不可欠だ」と述べ、物理的な学習・交流の場を失うことの象徴的・実務的損失の大きさを強調した。
また、コロナ禍を経て、ジェンダー不平等が一層顕在化した現代において、今こそ研修・学習の強化が求められるとし、「ジェンダー政策の後退を許さない世論を築くべき」と訴えた。
ネットでは「後退」との批判相次ぐ
これ、立憲民主が賛成してるの本当に信じられない
女性の権利拡充の拠点を潰しておいて「男女共同参画」って矛盾してる
財政のせいにするな。だったら軍事費3%とかやめろよ
研修の場がない共同参画機構なんて、ただの看板
「ジェンダー平等の実践拠点」を解体する意味、全く理解できない
社会構造の是正と共生社会の実現には、言葉だけでなく制度と拠点が伴っていなければならない。象徴的拠点の消失は、その国の政治姿勢の後退を如実に映し出す。今求められているのは、“機構”という形だけでなく、そこに込められた「人が学び、集う場」としての意義の再評価だ。