2025-12-21 コメント: 1件 ▼
分散型水道に政府支援決定、2026年度から小型浄水装置整備費を補助金対象に
上水道では2026年度から、集落単位で設置可能な小型浄水装置の整備費などを補助金の交付対象とします。 政府は能登半島地震の教訓を受け、「能登半島をフィールドとした分散型システムの新技術実証事業」の公募を12月24日から開始しており、被災地を実証フィールドとして活用する方針を明確にしています。
政府が分散型水道を本格支援
長距離配管不要の小型システム、2026年度から補助金対象に
政府は21日、大規模浄水場や長距離配管を必要としない「分散型水道」の導入を進める自治体への財政支援方針を正式に固めました。上水道では2026年度から、集落単位で設置可能な小型浄水装置の整備費などを補助金の交付対象とします。人口減少により水道事業の収入が減少し、既存インフラの維持管理が困難になる中、コストを抑制しつつ持続可能な水供給体制を構築する狙いです。下水処理でも同様の仕組み整備のため、来年1月の通常国会で関連法改正を目指します。
能登半島地震が浮き彫りにした課題
この政策転換の背景には、2024年1月の能登半島地震における深刻な水道被害があります。石川県内では最大約11万戸が断水し、復旧まで5か月を要しました。特に浄水場や配水池などの基幹施設が被災すると、広範囲で断水が発生することが明らかになりました。
さらに9月の能登豪雨では、地震の応急復旧で設置した仮設配管が土砂崩れで破損し、再び約5200戸が断水しました。従来の集中型水道システムの脆弱性が露呈した形で、災害に強いバックアップ体制の必要性が浮き彫りになりました。
政府は能登半島地震の教訓を受け、「能登半島をフィールドとした分散型システムの新技術実証事業」の公募を12月24日から開始しており、被災地を実証フィールドとして活用する方針を明確にしています。
「長距離配管が不要で災害に強い水道が必要」
「過疎地では配管維持が本当に大変」
「小型装置なら集落レベルで管理できそう」
「でも水質管理が心配だな」
「給水車での対応も現実的だと思う」
従来システムの限界が明確化
過疎地の自治体を中心に、水道事業の料金収入減少と配管維持管理の困難化が深刻な問題となっています。住民数が特に少ない集落などでは、老朽配管の修繕や交換費用が事業収入に見合わない状況が続いており、分散型への切り替えを検討する動きが各地で始まっています。
従来の上水道システムは、大規模浄水場から各地域に配管網を長く張り巡らせて水を各戸に届ける仕組みです。しかし、配管の老朽化が進むと取り換えや修繕に多額の費用がかかり、特に人口密度の低い地域では投資効率が極めて悪くなります。
水道管路の経年化率は23.6%まで上昇し、管路更新率はわずか0.64%(令和4年度)という現状が示すように、既存インフラの更新が追いついていない実態があります。全管路延長約74万キロに占める法定耐用年数(40年)を超えた延長は約17.6万キロに達しており、抜本的な対策が急務となっていました。
分散型システムの多様な選択肢
分散型水道は川や井戸などから取水し、小型装置で浄化した後、集落や住宅に配水したり、給水車で水を届けたりする仕組みです。長距離の配管を必要としないため、建設コストと維持管理費を大幅に削減できる利点があります。
具体的なシステムは地域の実情に応じて多様な選択肢があります。水源としては井戸水、沢水、河川水などが利用でき、技術面では膜ろ過、紫外線殺菌、オゾン処理などの組み合わせが可能です。管理方法も自治体直営から住民組合による運営まで幅広い選択肢が用意されています。
民間企業も積極的に参入しており、三菱ケミカルアクア・ソリューションズは車数台分程度の面積で設置可能な分散型水処理・給水システムを開発。遠隔監視システムを用いて安全で安定した給水を実現しています。工期が短く、設置から給水まで短期間で対応できるため、災害時の応急復旧にも威力を発揮します。
先進自治体の取り組み事例
岡山県津山市では水道未普及地域約200戸で住民による小規模水道が始動しています。市街地から地理的に遠く、これまで清浄な沢水を住民が簡易処理して使用していましたが、気候変動による水質悪化や野生動物による汚染が問題化。市の水道事業として解決するのは財政的に困難なため、維持管理を地元組合が行う小規模水道を導入しました。
長崎県五島列島の赤島(住民十数名)では、各家庭の雨水タンクで生活用水をまかなう珍しいシステムが運用されています。離島という地理的条件を活かした分散型の典型例として注目されています。
山梨大学を中心とする研究プロジェクトでは、甲州市をフィールドに小規模分散型の水供給・処理サービスの技術・ビジネスモデル開発を進めており、地域の需要に合わせた資源量や水質の可視化、社会コストの評価を通じて住民と産学官が協働する枠組みを提案しています。
2026年度からの支援制度概要
新しい補助制度では、集落単位で設置可能な小型浄水装置の整備費が主な対象となります。取水施設(堰・井戸等)、浄水設備(ろ過・滅菌装置)、配水池(配水タンク)、短距離配水管(PE管、送水ポンプ等)などの設備投資が財政支援を受けられる見込みです。
従来の簡易水道等施設整備費補助は、水道法の水質基準を満たす大規模施設が対象でしたが、新制度は地域の実情に応じた柔軟なシステム構築を重視します。補助率については事業内容や財政力指数により異なりますが、これまでの4分の1から10分の4程度の範囲内で設定される方向です。
下水処理分野でも同様の取り組みを促進するため、年明けの通常国会で関連法改正を予定しています。現行の水道法体系では分散型システムの位置づけが曖昧なため、法的整備を通じて制度化を図る考えです。
課題と今後の展開
分散型水道の普及には解決すべき課題も少なくありません。水質管理の確実性、維持管理体制の構築、技術者確保などが主要な課題として挙げられます。特に小規模システムでは専門技術者の常駐が困難なため、遠隔監視技術やAI活用による自動化が重要な鍵を握ります。
政府は2026年度からの本格運用に向け、能登半島での実証事業を通じて技術面・制度面の課題を洗い出し、全国展開可能なモデルの確立を目指します。上下水道DX技術カタログの策定(令和6年度中)により、メンテナンス効率向上技術の標準化も同時に進める方針です。
この政策は単なる技術転換にとどまらず、人口減少社会における持続可能なインフラ整備のあり方を根本的に見直す画期的な取り組みといえます。災害に強く、コスト効率の良い水供給システムの構築により、過疎地域でも安心して暮らせる環境整備が期待されています。
国土交通省の担当者は「広域化推進と並行して、人口減少が進む地域では地域の実情に応じて分散型システムの活用を図る」と説明しており、画一的な広域化一辺倒から地域特性に応じた柔軟なアプローチへの政策転換を明確にしています。
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