2026-03-14 コメント投稿する ▼
茂木敏充外相が小泉進次郎防衛相に激怒、自衛隊機派遣発表は自衛隊法抵触の恐れ
2026年3月5日、小泉氏が自身のXに「邦人輸送のための自衛隊機の派遣準備に着手しました」と投稿したことが、自衛隊法の規定に抵触する恐れがあるからです。 自衛隊法84条の4によれば、防衛大臣は外務大臣の要請を受けた場合にのみ、邦人保護のために自衛隊機を出動させることができます。
米国とイスラエルによる2026年2月28日のイラン攻撃を受け、中東には退避を望む多数の邦人が取り残されました。日本政府にとって「過去最大級」とされる邦人退避作戦が迫られる中、小泉氏の"暴走"が政府内の混乱を招いたのです。
茂木外相が正式に自衛隊機のモルディブへの出動要請を行ったのは3月6日のことでした。小泉氏の投稿はその前日、3月5日午前0時8分に行われており、政府関係者は「自衛隊法の規定に抵触する恐れがある」と指摘します。邦人保護は外務省の所管事項であり、自衛隊機の派遣も外相の要請が前提です。防衛大臣が独自判断で自衛隊機の出動を決めることは、法律上許されていません。
茂木外相「怒り心頭に発している」
政府関係者によれば、小泉氏は「自衛隊が邦人救出に動いているとアピールしたかっただけなのかもしれませんが、少々焦り過ぎた」といいます。茂木氏は自分の頭越しに自衛隊機を出そうとした小泉氏に怒り心頭に発しています。木原稔官房長官も看過できないとして、小泉氏に厳重注意を行いました。
元NHK解説委員の増田剛氏は「自衛隊法84条の4によれば防衛大臣は外務大臣の要請を受けた場合に、邦人保護のために自衛隊機を出動させることができます。裏返せば防衛大臣は、邦人保護に関して独自に自衛隊機の出動を判断するものではありません」と指摘します。
小泉氏の投稿は、外務省を飛び越えて防衛省が先走ったという印象を与えました。邦人保護は外交案件であり、現地情勢の分析や退避ルートの確保、受け入れ国との調整などは外務省が一元的に担当します。自衛隊機の派遣はあくまで外務省の要請に基づく支援措置であり、防衛省が主導する性質のものではありません。
茂木外相は3月1日、主要7カ国の外相による電話協議で各国の自国民の安全確保へG7各国の連携を呼びかけるなど、外交ルートを通じた邦人保護に全力を挙げていました。そうした中で小泉氏が唐突にSNSで自衛隊機派遣を発表したことは、茂木氏の外交努力を無視する行為だったのです。
「小泉氏はまた目立ちたいだけなんじゃないか?」
「自衛隊法の規定を理解していないとしたら問題だ」
「茂木外相が怒るのも当然。外務省の仕事を無視している」
「でも邦人救出のために動くのは悪いことじゃないでしょ?」
「法律を守らないで何が防衛大臣なんだ」
官邸内は「のんびりした空気」
実は政府全体の対応も問題だらけでした。政治部デスクによれば「攻撃から数日たっても、官邸内の空気はのんびりしたものでした。政府一丸となって邦人保護に当たろうという気運は盛り上がっていなかった。基本的には外務省にお任せという雰囲気だったのです」といいます。
高市早苗首相と直接会話できる側近は木原稔官房長官や飯田祐二首相秘書官ら数えるほどしかおらず、その彼らも邦人保護の進め方について首相に諫言を呈した形跡はありません。外交と防衛が"ド素人"という高市政権の内幕を見れば、不安は尽きないのです。
もっとも、小泉進次郎防衛相は違いました。3月1日の段階でXに「現時点で防衛省・自衛隊が第一に備えるべき任務は、要請に応じて邦人輸送を行うことですが、その待機態勢は常に整えています」と投稿。さらに5日には「イランを取り巻く情勢の緊迫化を踏まえ、邦人の退避が困難となる場合に備え、邦人輸送のための自衛隊機の派遣準備に着手しました」と書き込んだのです。
投稿では「現地におられる邦人の方々の状況把握」「自衛隊の部隊を進出させるルートの検討」「使用する機体や要員の選定」などの具体的準備を進めると説明しました。しかし茂木外相から要請を受けていない段階でこうした発表を行うことは、自衛隊法の趣旨に反する行為だったのです。
自衛隊機は「いざという時のため」
元空将で麗澤大学特別教授の織田邦男氏は「自衛隊の輸送機は乗り心地が悪い。キャビンアテンダントもいなければ、水やコーヒーのサービスも限られています。自衛隊機はいざという時のためのものです」と語ります。
実際、政府は民間チャーター機による邦人退避を優先しており、自衛隊機の派遣はチャーター機が運航できない不測の事態に備えた措置です。外務省は3月6日、アラブ首長国連邦とオマーンに滞在する邦人の退避支援として、現地時間8日午前0時にオマーンから東京までのチャーター便を運航すると発表しました。サウジアラビアからの運航も計画しています。
茂木外相は3月6日の衆院外務委員会で、イランで拘束されている邦人は2人で、現時点で安全を確認していると説明しました。「政府として早期解放を強く求めている」と強調しました。木原官房長官は記者会見で、準備が整えば自衛隊機をモルディブに速やかに派遣し、待機させると明らかにしました。
拘束された2人のうち1人は2026年1月20日に現地当局に拘束されたNHKのテヘラン支局長とみられ、もう1人は旅行中に拘束された可能性があります。この邦人について木原氏は、2025年6月に拘束されたと確認していると説明しました。
日米首脳会談で予期せぬリスク
高市首相が向き合わねばならないのは邦人保護の問題だけではありません。3月19日には日米首脳会談が控えています。政治ジャーナリストの青山和弘氏は「今回の日米首脳会談の主眼は3月末に訪中するトランプ大統領に"中国とのディールを優先しないでもらいたい。日本を含む東アジアの平和に引き続き関与してください"と伝え、米中関係にくさびを打ち込みに行くことでした」と語ります。
しかしイラン攻撃が始まったため、高市首相は予期せぬリスクを背負うことになりました。「トランプ大統領のことですから、事務方の事前調整を無視して、攻撃への支持を求めたり、さらに後方支援や掃海活動など自衛隊の協力を要請してくる可能性もある。その時、高市首相がトランプ大統領に強く出られるかといえば難しいでしょう」と青山氏は指摘します。
明海大学教授の小谷哲男氏も「日米首脳会談では、ホルムズ海峡の安定確保を目的として、自衛隊の出動を求められる可能性があります。ただし、米国の軍事作戦が自衛権に基づくものか不明なため、基本的には集団的自衛権の成立が考えにくい状況です。とはいえ、補給支援などの形で自衛隊の関与を依頼される可能性は否定できません。いずれにしても、非常に難しい会談になるはずです」と語ります。
茂木外相にとって、小泉氏の"暴走"は看過できない問題です。法律を無視した行動は、日本の安全保障政策全体の信頼性を損ないかねません。問題山積の高市政権で、茂木氏の焦燥感はいかばかりか。外交のプロとして、素人政権を支えざるを得ない苦悩が浮き彫りになっています。