2026-01-27 コメント投稿する ▼
ロシアが北方領土軍事演習拡大、国後島周辺を追加通告、元日から色丹島北方でも演習、日本政府は厳重抗議
ロシアは2025年、北方領土周辺での演習をほぼ毎月通告し、4月と10月には無害通航権を一方的に停止するなど、北方領土の既成事実化を加速させています。 日本政府は、ロシアが軍事活動を活発化させる恐れがあるとみて警戒を強めています。 ロシアは2025年12月27日、2026年元日から3月1日まで色丹島北方の複数区域で射撃演習を行うと通告していました。
ロシアが不法占拠する北方領土周辺で2026年元日から軍事演習を行うと通告していた問題で、新たに国後(くなしり)島周辺を演習区域に追加したことが2026年1月27日、日本政府関係者への取材で分かりました。日本政府は外交ルートを通じ、「北方四島における軍備強化の動きはわが国の立場と相いれず、受け入れられない」と厳重に抗議しました。ロシアは軍事活動を活発化させる恐れがあるとみて、政府は警戒を強めています。ロシアは2025年、北方領土周辺での演習をほぼ毎月通告し、4月と10月には無害通航権を一方的に停止するなど、北方領土の既成事実化を加速させています。
国後島南方で2月1~28日に射撃演習、規模を拡大
日本政府関係者によると、ロシアは2026年2月1日から28日まで、国後島南方で射撃演習を行うと通告しました。ロシアは既に2026年元日から3月1日の日程で、色丹(しこたん)島北方の複数区域で射撃を行うと通告していましたが、今回の国後島周辺の追加により、演習規模を拡大させた形となりました。
国後島は北方四島のうち、択捉島に次いで2番目に大きな島で、面積は約1,490平方キロメートルです。日本の北海道根室半島の納沙布岬から最短で約16キロメートルの距離にあり、晴れた日には肉眼でも島影を確認できます。
国後島には、ロシア軍の地上軍部隊が駐留しており、戦車、装甲車、各種火砲、対空ミサイル、偵察用無人機などが配備されています。2016年には沿岸(地対艦)ミサイルが配備されるなど、近年ロシアは北方領土での軍備を強化してきました。
今回の演習追加通告により、ロシアは色丹島北方と国後島南方の2つの区域で同時並行的に軍事演習を行うことになります。日本政府は、ロシアが軍事活動を活発化させる恐れがあるとみて警戒を強めています。
元日から3月1日まで色丹島北方で射撃演習、2カ月間
ロシアは2025年12月27日、2026年元日から3月1日まで色丹島北方の複数区域で射撃演習を行うと通告していました。この演習は約2カ月間にわたって毎日実施されることになっており、規模の大きさが特徴です。
色丹島は北方四島のうち、歯舞群島に次いで日本本土に近い島で、面積は約253平方キロメートルです。択捉島、国後島とともに、旧ソ連時代の1978年以来、ロシアが地上軍部隊を再配備してきた島の一つです。
ロシアは2025年、ほぼ毎月にわたって色丹島北方での演習を通告しています。演習内容の詳細は不明ですが、射撃訓練が中心とみられています。日本政府は外交ルートで「わが国の立場と相いれない」と繰り返し抗議してきましたが、ロシア側は演習通告を続けています。
「北方四島における軍備強化の動きはわが国の立場と相いれず、受け入れられない」
「ロシアは軍事活動を活発化させる恐れがある。動向を注視する」
「北方領土をロシア領とする前提の通告であり、断じて受け入れられない」
「無害通航権の一方的停止は国際法に反する。厳重に抗議する」
「北方領土の既成事実化を狙う動きを強めている。極めて遺憾だ」
2025年は計9回の演習通告、無害通航権も一方的に停止
ロシアは2025年、北方領土周辺での軍事演習を相次いで通告しました。同年4月には、北海道近海や北方領土を含む広大な区域での演習を伝達してきました。日本政府は重ねて抗議しましたが、2025年の演習通告は計9回に上りました。
さらに深刻なのは、ロシアが2025年4月と10月、色丹島、国後島、択捉(えとろふ)島、歯舞(はぼまい)群島、北海道の周辺海域で、国連海洋法条約に基づき他国領海の自由航行を各国に認める「無害通航権」を一方的に停止したことです。
無害通航権とは、国連海洋法条約で認められた権利で、沿岸国の安全を侵害しない限り、他国の船舶が領海を自由に航行できるというものです。ロシアの通告は、北方領土をロシア領とする前提となっており、日本政府は外交ルートで厳重に抗議しました。
この無害通航権の停止により、日本の漁船や商船が北方領土周辺海域を航行する際に制限を受ける可能性があります。日本政府は「国際法に反する一方的な措置であり、断じて受け入れられない」との立場を示しています。
10月には無人島に命名、管轄権の既成事実化を加速
ロシアは2025年10月、北方領土にある2つの無人島に命名する政令を公表しました。これは、北方領土の管轄権などを既成事実化する動きの一環とみられています。
ロシアは近年、北方領土の既成事実化を加速させています。軍事演習の頻発、無害通航権の停止、無人島への命名など、一連の動きは、北方領土がロシアの実効支配下にあることを内外にアピールする狙いがあります。
日本政府は、こうしたロシアの動きに対して一貫して抗議してきました。しかし、ロシア側は日本の抗議を意に介さず、既成事実化を進めているのが実情です。
北方領土問題は、日露間の最大の懸案事項です。日本は北方四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)が日本固有の領土であるとの立場を堅持していますが、ロシアは第二次世界大戦の結果として北方領土を獲得したとの立場を崩していません。
鈴木宗男氏の訪露直後に演習通告、対露外交の難しさ浮き彫りに
日露関係をめぐっては、自民党の鈴木宗男参院議員が2025年12月26日、訪露してロシア外務省幹部らと会談しました。鈴木氏は高市早苗首相から受け取った対露政策への「思い」を伝え、北方領土の墓参再開や、漁業協定再開などを協議したと説明していました。
鈴木宗男氏は、長年にわたって日露関係の改善に取り組んできた政治家です。北方領土問題の解決や、日露間の経済協力の推進を訴えてきました。今回の訪露でも、北方領土の元島民らによる墓参の再開や、日露間の漁業協定の再開などを協議したとされています。
しかし、鈴木氏の訪露直後に、ロシアは2026年元日からの軍事演習を通告し、さらに1月27日には国後島周辺での演習追加を通告してきました。このタイミングは、日本の対露外交の難しさを浮き彫りにしています。
日本政府は、対話の窓口は維持しながらも、ロシアの不法な行為には毅然と抗議する姿勢を示しています。しかし、ロシア側は日本の抗議を意に介さず、軍事活動を活発化させているのが現状です。
オホーツク海の軍事的重要性高まる、戦略原潜の活動領域
ロシアが北方領土での軍事活動を活発化させる背景には、オホーツク海の軍事的重要性の高まりがあると指摘されています。オホーツク海は、ロシアの戦略原子力潜水艦(SSBN)の活動領域となっており、ロシアにとって戦略的に極めて重要な海域です。
戦略原潜は、核弾道ミサイルを搭載した潜水艦で、ロシアの核戦力の中核を成しています。オホーツク海は、ロシアの戦略原潜が安全に活動できる「聖域」とされており、この聖域を守るために、北方領土を含む周辺地域の軍備を強化しているとみられています。
防衛省の防衛白書によると、ロシアは近年、北方領土所在部隊の施設整備を進めているほか、海軍所属の沿岸(地対艦)ミサイルや航空宇宙軍所属の戦闘機などの新たな装備も配備し、大規模な演習も実施しています。
2021年6月には、択捉島、国後島、南樺太で兵員1万人以上、約500両の地上装備・機材、航空機32機、艦艇12隻が参加する着上陸・対着上陸対抗演習が実施されました。こうした大規模演習は、オホーツク海一帯の防衛態勢を強化する狙いがあるとみられています。
日本政府は引き続き厳重抗議、ウクライナ侵略の影響も注視
日本政府は、ロシアの北方領土での軍事演習拡大に対して、引き続き外交ルートを通じて厳重に抗議する方針です。「北方四島における軍備強化の動きはわが国の立場と相いれず、受け入れられない」との立場を堅持しています。
一方で、日本政府はロシアのウクライナ侵略の影響も注視しています。ロシアは2022年2月にウクライナに侵攻し、現在も戦闘が続いています。防衛省の防衛白書によると、北方領土に配備されていた地対空ミサイル・システム「S-300V4」が消失しており、ウクライナでの使用のために転用されたとみられています。
ウクライナ侵略が長期化する中、ロシアが極東の防衛態勢をどう維持するかが注目されています。一方で、ロシアは北方領土での軍事活動を継続しており、日本に対する軍事的圧力を緩めていません。
日本政府は、北方領土問題の平和的解決を目指しつつも、ロシアの軍事活動には引き続き厳重に抗議していく方針です。