2025-05-22 コメント投稿する ▼
加藤財務相、日米会談で「為替は市場で決定」 関税への懸念も伝達しG7で協調姿勢強調
「為替は市場で決まるもの」加藤大臣が明言
カナダで開催中のG7財務相・中央銀行総裁会議の期間中、加藤勝信財務大臣とアメリカのジャネット・ベッセント財務長官が個別に会談し、国際為替市場に対する基本的なスタンスについて意見を交わした。今回の対面は4月に続くもので、約30分間にわたって実施された。
会談では、為替レートは本来、市場の需給バランスによって決まるべきものであり、過度な変動や無秩序な動きは金融や経済の安定に悪影響をもたらすという認識を改めて確認した。これは、G7各国が共有している基本的な原則でもある。
具体的な為替水準への言及はなし
今回の会談では、為替レートの水準や管理についての踏み込んだ議論は行われなかった。円安が進行する中、日本国内では為替介入への関心が高まっているが、政府としては引き続き「市場原則に則る」方針を堅持している形だ。
加藤大臣は会談後、「為替の話題は原則論にとどまり、為替介入やアメリカ国債の保有に関する話はなかった」と記者団に説明した。これは、実務的な政策調整というよりも、両国のスタンスを再確認する位置づけの会談だったと言える。
保護主義に釘、貿易政策への懸念も
さらに加藤大臣は、アメリカ側に対して貿易収支の不均衡是正において関税を手段とすることへの懸念も伝えたとされる。かつてトランプ前政権が重視していた関税による貿易政策に対し、日本は従来から自由貿易と多国間の協調を重視しており、その立場に変化はない。
この発言は、アメリカ国内の保護主義的な動きが再び勢いづく可能性を見据え、日本があらかじめ懸念を表明したものとみられる。仮に関税政策が再び前面に出るような事態になれば、日本企業にとっても経済活動への影響は避けられない。
日米の信頼関係を維持、政策のすり合わせ続く
今回の会談は、あくまで立場の共有と信頼の確認が主な目的だったとみられる。日米両国は経済運営の根幹を支えるパートナーであり、為替や貿易の分野においても緊密な連携が求められている。
今後もこうしたハイレベルの対話を継続することで、双方がそれぞれの国内事情や市場動向を踏まえつつ、対外的な経済メッセージを調整していく姿勢が重要となるだろう。