2025-08-17 コメント投稿する ▼
今年の新米が過去最高値 5キロ7800円も 消費者は旧米に流れる現実
新米価格が過去最高水準に高騰
今年の新米が各地のスーパーに並び始めましたが、その価格は「過去最高」とも言える異常な水準となっています。高知県産の「よさこい美人」は5キロで7800円、同じく高知県産のコシヒカリも6450円と、例年の1.5倍に達しました。店頭に並んだ米店の代表も「創業以来最高値」と驚きを隠せません。
背景にあるのは、農協(JA)が農家に提示する「概算金」の上昇です。これはその年の最低取引価格の目安ともなる金額で、昨年よりも大幅に高く設定されました。さらに買い付け競争が激化し、業者が概算金を上回る価格を次々と提示したことで、相場は一段と押し上げられています。
「新米がぜいたく品になるなんて想像してなかった」
「お祝いの気持ちで買いたいけど、5キロ7000円超えは無理」
「結局去年のお米を選んだ」
「農家の苦労は理解するが、消費者も生活がある」
「コメ離れがさらに進むのではないか」
猛暑と雨不足が生産を直撃
今年の異常気象も新米価格を押し上げた大きな要因です。福井県のコメ農家は「ここまでの猛暑・高温は経験がない」と語ります。高温や雨不足による品質低下を防ぐため、収穫を数日早めざるを得ない農家も現れました。
こうした環境下で収穫された新米は供給量が限られ、取引価格が上昇しました。実際、JA福井県が農家に提示した新米の概算金は60キロあたり2万3000円と、前年より7000円高い水準でした。さらに卸売業者は県外流出を防ぐため、1万円上乗せした3万2000円という提示を行う事態にまで発展しました。
消費者は旧米を選択 売り場に二極化
埼玉県のスーパーでは、宮崎県産コシヒカリが5キロ4526円で販売されています。しかし実際には、5キロ3800円台の昨年産の米を選ぶ消費者も目立ちます。「家族が多いので安い方を」「新米は少し様子を見てから」という声が多く、消費行動は価格に強く影響されていることがうかがえます。
コメ離れが進む中で、この異常な高値が続けば、消費者がますます旧米や他の主食に流れる可能性も否めません。農家の収入確保と消費者の生活防衛との板挟みが深刻化しています。
備蓄米販売に遅れ 業者は悲鳴
一方で岩手県の米店では「備蓄米が売れない」という悩みが広がっています。政府が放出する備蓄米の入荷が大幅に遅れ、販売計画が崩れてしまったためです。本来なら7トンは売れるはずが、実際には1トン弱しか売れていない状況です。
販売期限は今月末までとされますが、農林水産省から延長の案内はまだ届いていません。業者は「案内がないままでは物理的に売り切るのは不可能」と苦しい立場に置かれています。こうした備蓄米制度の運用の遅れが、現場に混乱を生んでいることも浮き彫りとなりました。
制度の課題と消費者への影響
今回の異常な高値は、猛暑など自然環境の影響に加え、流通や制度の問題が重なっていることが明らかになっています。農家の収益確保は不可欠ですが、消費者の購買力との乖離が広がれば、米文化そのものが揺らぎかねません。
政府には、備蓄米の運用や価格安定策について迅速で柔軟な対応が求められています。また、国民生活に直結するコメ価格の急騰を放置すれば、家計への打撃は避けられず、他の食料品への影響も懸念されます。消費者、農家、流通の三者が持続可能な形で共存できる制度設計が急務です。