2025-07-31 コメント投稿する ▼
渇水と猛暑で農作物に打撃懸念 農水省が対策本部設置、小泉大臣が現場対応を指示
渇水と高温が農業現場に深刻な影響
日本列島を襲う猛暑と降雨不足が、農業現場に深刻な影響を及ぼしている。農林水産省は7月31日、渇水や高温による農作物への被害が一部地域で報告されていることを受け、対策本部を設置し、初会合を開いた。特に東北や北陸地方では、水田におけるイネの生育が著しく遅れているとの報告が上がっており、農家の不安が高まっている。
会合で小泉進次郎農林水産大臣は、「限られた水資源を有効に活用し、被害の軽減に努めてもらいたい」と述べ、現場対応の強化を関係幹部に指示。具体的には、節水の呼びかけや、ポンプによる水供給にかかる費用を国が補助する制度の積極活用、高温に耐えやすい品種への転換などが示された。
農林水産省によれば、全国規模では現時点で大きな被害は確認されていないが、地域によっては水不足が深刻化しており、今後の降雨状況によっては影響が拡大する恐れもあるという。
「節水要請」と国の支援策
農業は自然との戦いと言われるが、今回のような記録的な猛暑と少雨は、従来の経験則では対応しきれない状況を生み出している。水不足による灌漑用水の枯渇、作物の乾燥障害、土壌のひび割れなど、影響は多岐にわたる。
こうした中で、小泉大臣は全国の農業関係者に対し、節水の徹底を呼びかけている。また、農水省はポンプ設備などによる補水のための経費補助や、地域の気候に適した耐暑性品種の普及支援も進めていく方針だ。
これに対し現場の農家からは「水を節約しろと言われても限界がある」「高温耐性品種に切り替えるのは時間もコストもかかる」といった声も聞かれる。支援策のスピードと柔軟性が今後のカギとなる。
農家の苦悩と不安の声
現在、被害が報告されているのは主に東北地方南部と北陸地方。特に新潟県内の一部地域では、平年と比べて稲の成長が10日以上遅れている田んぼもあるという。
長引く高温により、葉が焼けたり、穂が出る前に弱ってしまったりする事例も報告されており、収穫への影響が現実味を帯びてきている。
国民・市民・有権者の声として、SNS上には次のような投稿が見られた。
「うちの実家も農家だけど、井戸水がもう限界って言ってた」
「雨が全然降らない。稲作どころじゃないよ」
「高温に強い品種に変えるって、そんなにすぐできる話じゃない」
「農家にだけ節水を求めるのは酷では?」
「支援金や補助じゃなく、まず減税してほしい」
農水省がどこまで現場の声に寄り添い、即効性のある対策を打てるかが問われる局面に差し掛かっている。
気候変動下の農業政策の再考を
今回のような異常気象は、もはや「想定外」ではなく「想定内」として備えるべき時代に入っている。農業政策は、従来の「対処療法」的な支援から脱却し、気候変動を前提とした中長期的な計画に基づく「予防重視」型へと転換を求められている。
一部では、気象リスクを保険でカバーする制度の拡充や、スマート農業の導入による灌漑効率の向上が議論されているが、普及には時間と投資が必要だ。
一方で、現場では日々の天気と向き合い、収穫の是非が生活そのものに直結する現実がある。
地方の基幹産業である農業を守るためにも、今回のような事態に対しては迅速で的確な対応が求められる。節水や耐暑品種の推奨だけでなく、農業所得を守る抜本的な構造改革が必要だ。
全国的な被害にはまだ至っていないとはいえ、局地的に深刻な渇水被害が確認されている現在、農林水産省の対応はスピードと実効性が鍵となる。単なる「呼びかけ」や「助言」ではなく、現場に届く支援こそが重要であり、その手段としては減税の選択肢も検討されるべきだ。過去の災害や異常気象の教訓を生かし、持続可能な農業のための体制強化が求められる。