2025-07-23 コメント投稿する ▼
小泉農水相「新たな市場開放ではない」 米国産米増加に農業界の警戒強まる
コメ輸入交渉で「誤解」否定 小泉農水相が強調
日米の関税交渉をめぐり、小泉進次郎農林水産相は23日、焦点となっていたコメの輸入について「総量が増えない形で合意した」と述べ、輸入の拡大や新たな市場開放との見方を否定した。「新たな市場開放だと誤解をしている方がいるが、全く当たらない」と語り、「最善の交渉結果」として自信をにじませた。
今回の合意では、無関税で輸入される「ミニマムアクセス(MA)米」の輸入総枠(年約77万トン)自体に変更はない。一方で、米国からの輸入割合を増やす可能性は示された。小泉氏はこの点についても、「既存枠内の調整にすぎない」と説明し、「農業界では安堵が広がるのではないか」と述べた。
SBS方式と警戒される“穴” 安価な米が市場を揺るがす懸念も
MA米のうち主に主食用に販売される分は、輸入業者と国内実需者がペアで参加する「売買同時契約(SBS)」方式で取引されている。ここでの輸入量は最大10万トンに制限されているが、業界関係者の間では「このSBS枠が拡大されれば、実質的な市場開放につながる」との警戒感が高まっている。
小泉農水相はSBS枠の拡大について問われると、「詳細は確認する」とのみ答え、明言を避けた。これは裏を返せば、今後の米国側の要望次第では枠の見直しがあり得るという含みともとれ、現場では「玉虫色の答えに不安が残る」との声もあがる。
MA米は価格競争力のある外国産であることが多く、国産米の価格や需給に与える影響は小さくない。日本のコメは長年、手間のかかる高品質な栽培を通じて国内需要を支えてきた経緯があるだけに、「単なる量の話ではない」という意識が生産者の間には根強い。
米国産「中粒種」導入か 日本市場との親和性に懸念
2024年度のMA米輸入では、米国産が全体の約45%を占める34.6万トンに達した。小泉氏は、今後増える可能性のある米国産米について「短粒種に比較的近い中粒種」と言及し、日本の食文化や消費者の嗜好に合うとの見解を示唆した。
しかし、これに対して業界関係者は「中粒種であっても味や粘り、食感には違いがある。国産米と直接競合すれば、価格低下や生産離れが進む懸念がある」と指摘。特に地方の小規模農家にとっては、安価な輸入米の流入は死活問題になりかねない。
また、米国側の輸出促進策と日本政府の説明が食い違えば、「事実上の市場開放ではないか」との疑念が消費者や農業団体の間で再燃する可能性もある。慎重な情報開示と実態の検証が不可欠だ。
農政の信頼問われる中、求められる「説明責任」
農業を守る立場の農水相として、小泉氏が「最善の交渉」と断言した以上、その裏付けとなるデータや見通しを国民に対して明確に示す責任がある。交渉の内容や今後の運用次第では、日本の米市場に構造的な変化をもたらす可能性があるだけに、説明の不十分さが不信を招くこともあり得る。
仮にSBS枠が拡大されるようなことがあれば、結果的に「無関税輸入の実質拡大」に近くなり、今回の説明と矛盾する事態にもなりかねない。交渉の詳細を追う国会審議の場や、農業関係団体への説明を通じて、今後の政府の対応と責任の所在が厳しく問われることになるだろう。
有権者の声
「“誤解”と片づけず、国民に分かるよう丁寧に説明してほしい」
「アメリカ産のコメがどんどん入ってきたら、地元の農家はやっていけない」
「SBSの枠だけ広げるなら実質的には市場開放と同じでは?」
「農業界の“安堵”って誰の声?生産者はもっと不安だと思う」
「農業を守るって言うなら、交渉内容を全部オープンにしてほしい」