2025-07-13 コメント投稿する ▼
「家族の牛を置いて避難できない」十島村の島外避難で小泉農相が移送費支援を表明
「牛も家族」十島村の避難支援で小泉農相が家畜移送費に言及 “命を守る政策”へ転換なるか
地震続く十島村で進む島外避難 課題は“牛を残して避難できない”
鹿児島県の十島村では、断続的な地震活動が続いており、一部の島民が鹿児島市内などに島外避難する状況が続いている。だが、住民の中には「家族のように育ててきた牛を置いてはいけない」として、避難をためらう声も出ている。
そうした中、13日、鹿児島市内で街頭演説を行った小泉進次郎農林水産大臣は、家畜の牛を島外に移送する費用について、「農林水産省として支援する」と表明した。「避難に踏み切れない方々が安心して行動できるよう、きめ細やかに寄り添う政策を、スピード感を持って実行する」と述べた。
これにより、牛を守るために島にとどまっていた住民にも、安全な避難の道が開かれる可能性がある。家畜を「財産」としてだけでなく、「家族」として扱う価値観に配慮した対応として注目されている。
「牛を置いて行けないって、気持ちはすごく分かる」
「ようやく国が本気で“命”を守る姿勢を見せた」
「避難支援は人間だけじゃない、当然だと思う」
「家畜も生き物。取り残すことが当たり前になってほしくない」
「進次郎さん、こういう時は行動が早いな」
「命を守る」という言葉の範囲を広げられるか
これまで災害時の避難支援は、人命の保護が優先されるのは当然としても、家畜やペットなどの動物は「後回し」とされる場面が多かった。だが、特に過疎地域や一次産業が基盤の離島では、家畜が生活や生計の中心であり、単なる経済的資産ではなく「命をともにする存在」として深く結びついている。
「牛を連れて避難したい」との声は、単なる感情論ではなく、生活の全体がそこに根ざしているからこその訴えである。こうした声に対し、国が移送費支援という具体策で応えたことは、従来の避難支援の在り方に一石を投じるものだ。
実際、牛の移送には大型車両や専門スタッフ、受け入れ施設の調整などが必要で、住民個人が自力で行うには困難が伴う。今回の支援表明により、物理的な壁だけでなく、心理的な“避難へのブレーキ”が取り払われることが期待される。
「現場に寄り添う」は言葉だけにしないで
小泉農相は演説の中で「寄り添う」「スピード感を持って」と繰り返した。だが、こうした言葉は、これまでも多くの災害現場で聞かれてきた。しかし実際には、支援の遅れや形式的な対応に不満の声が相次ぎ、「口だけ」のレッテルを貼られるケースも少なくなかった。
今回のように、現場の声を受けて具体策を即時に提示することこそが、真の「寄り添い」である。さらに、今後は牛以外の家畜や、農業機械・飼料・インフラ面での支援も問われてくることになるだろう。単発の対応にとどまらず、十島村全体の農業と生活の復旧を見据えた支援計画が必要だ。
被災地が離島であるという特性もまた、支援の難しさに拍車をかけている。輸送手段の制約、医療資源の限界、ライフラインの脆弱性。これらにどう対応するかが、今後の省庁間連携と地方自治体の真価を問うものとなる。
離島災害支援の新たなスタンダードに
十島村での取り組みが先例となれば、今後、他の離島や山間地域で発生する災害時にも、「人と動物の両方を守る支援」が標準化されていく可能性がある。特に、農業・畜産を生業とする世帯が多い地域では、こうした「包括的避難支援」のあり方は現実的かつ必要な視点だ。
国や自治体が、都市部の支援モデルを押し付けるのではなく、地域ごとの生活実態に即した柔軟な支援体制を整えることこそが、災害対策の“次の一歩”である。
小泉農相の一手が、単なるパフォーマンスに終わるのか、新たな政策転換の兆しとなるのか。その実行力と継続性が、今後問われることになる。