2025-07-04 コメント投稿する ▼
小泉農相が備蓄米の放出を表明 みそや酒の原料不足に対応、加工業界の危機感に政府が応答
加工用コメの原料不足に対応、小泉農相が備蓄米放出を表明
小泉進次郎農林水産大臣は7月4日、みそや日本酒、焼酎、米菓などの加工食品の原料として使用されるコメについて、政府が備蓄米を放出する方針を表明した。8月中に販売を開始する見通しで、放出量は今後の需給状況を見て判断されるという。
コメ加工業界からは、原料用米の確保が困難になっているとして、政府に対して備蓄米の放出を要望する声が上がっていた。今月1日には業界団体が小泉農相に対して正式に要望書を提出。これを受けたかたちでの迅速な対応となった。
「みそや酒が高くなったら困る。備蓄米の活用は妥当」
「備蓄米、こういうときに使わなきゃ意味ないよね」
「業界の声を即日レベルで拾ったのは評価できる」
「ただでさえ食品高いのに、酒やみそまで上がるのは勘弁」
「もっと早く対応できてたらと思うけど、とりあえず助かる」
背景にある“用途転換”、加工用米が不足する構造
今回の備蓄米放出の背景には、コメの用途転換による供給の偏りがある。農水省によれば、2024年産の米については、農家が加工用米から主食用米への生産転換を進める動きが強まっており、特にみそや酒などの加工業者が必要とする“安定価格の原料米”が不足する可能性が高まっている。
加工用米は、価格が安定しており一定量を確保しやすいことから、食品業界にとっては欠かせない存在だ。しかし、近年の物価高や補助制度の変更などで、農家がより高く売れる主食用米へシフトする傾向が続いている。こうした構造の変化が、業界の危機感につながっている。
備蓄米の活用に潜むリスクと今後の課題
備蓄米は本来、自然災害や大規模な不作などに備えた“安全保障的役割”を担っており、日常的な価格調整や供給対策としては慎重に扱われてきた。今回の放出は、物価高と需給逼迫という異常事態に対応した「例外措置」と位置づけられるが、今後も加工用米の供給不足が常態化すれば、備蓄の役割自体が揺らぐ可能性もある。
また、どの程度の量を放出するかによって、市場への影響が変わってくる。備蓄米の価格は市場価格より安価な場合が多く、過度な放出が市場をゆがめたり、民間の調達意欲を削ぐリスクもある。小泉農相は「原料米を安定した価格で確保したいという声が寄せられている」と説明するが、安易な放出に頼らず、計画的な流通管理が必要となる。
求められる中長期的対策と農政の見直し
今回の措置が“その場しのぎ”に終わらないようにするためには、加工用米の生産が農家にとって持続可能な選択肢となるよう、農政全体の見直しが求められる。たとえば、加工用米への支援強化や流通経路の多様化、需要予測に基づく生産指導の再構築など、根本的な対策が急務だ。
さらに、気候変動による収穫不安定化や輸入原料への依存問題も加わり、日本の食料供給はますます複雑化している。備蓄米の活用は「非常時の緩衝材」として機能するが、それだけに頼るわけにはいかない。
今回の放出は、政府と業界が連携して迅速に動いた好例として評価される一方で、日本の農政の構造課題を浮き彫りにする出来事ともなった。