2025-06-24 コメント投稿する ▼
小泉進次郎農水相とグラス米大使が会談 「コメ支援」発言に農業界で懸念の声
グラス駐日米大使「コメで日本支援」発言が波紋 小泉農水相はサクランボ外交
6月24日、小泉進次郎農林水産大臣が農水省でグラス駐日米国大使と会談を行った。その直後、グラス大使はX(旧ツイッター)にて「日本が直面しているコメの課題に対し、米国はいつでも支援を行う用意がある」と投稿。この一言が、政界や農業関係者、そしてネット世論に波紋を広げている。
グラス大使は投稿で、「食料安全保障は国家安全保障と表裏一体」との認識を示し、日米農業のパートナーシップ強化を訴えた。英語投稿では「支援」に「help」という語が使われており、直接的な「輸出」ではなく、包括的な支援を含意している可能性もある。
「日本のコメ問題って、アメリカから輸入すれば解決って発想がそもそもズレてる」
「helpって、援助のつもり?こっちの自給問題に口出ししないで」
「支援っていっても、自国産米を売りたいだけじゃないか?」
農業の分野では、TPPや日米貿易協定を通じてコメの輸入が長年の政治的争点となっており、今回の「支援」発言も、米国産米の輸出拡大の布石ではないかと警戒する向きが強い。
サクランボ外交の裏で揺れる米輸入懸念
一方、小泉進次郎農相は会談の様子について、「山形のサクランボを食べながら、アメリカのグラス大使と会談」と軽やかに報告した。さらに、米国が2027年横浜で開催予定の国際園芸博覧会(グリーン・エキスポ)への参加を表明したことへの「感謝」の意を述べた。
しかしこの“サクランボ外交”に対しては、「農業の重要課題に対する政治的真剣味が感じられない」との批判も一部から噴出している。
「サクランボ食べてる場合か。農政はもっと切迫してる」
「品のない言い方だけど“コメ食わせてくれ”って言われてサクランボで返したように見える」
特に近年の日本の農業は、国内コメ価格の低迷や後継者不足、耕作放棄地の拡大など課題が山積。そこに米国からの「支援」という名の輸出圧力が加われば、さらに国産米の競争力が損なわれると懸念する農家は少なくない。
背景にある米国の農産物輸出戦略
米国が「コメ支援」に言及する背景には、トランプ政権以来の農産物輸出戦略がある。TPP離脱以降も、米国は個別のFTAや交渉を通じて市場拡大を目指してきた。とくに日本市場は、品質志向と購買力の両面で魅力的とされている。
農水省内でも、水面下では「米国産米の輸入枠見直し」案がくすぶり続けており、今回の会談がその一環と見られる可能性も否定できない。
加えて、今回の発言は単なる友好アピールにとどまらず、実際に輸出枠拡大の足掛かりとなる可能性も指摘されている。農業政策における“外圧”は、かつてのBSE問題やオレンジ自由化と同様、後から実を結ぶことが多いのだ。
国産米を守る政治的意思はあるか
こうした状況の中で問われるのは、日本政府として国産米をどう位置付けるのかという政策の軸である。単なる「農業支援」ではなく、「食料安全保障」という国家戦略の文脈で、輸入の是非を論じる時期に来ている。
日本の農業、とくにコメは単なる経済財としてだけでなく、文化・地域経済・景観の柱でもある。農家の高齢化や生産コストの上昇が課題となる今、輸入を促進するような動きがあれば、それは地方の疲弊に拍車をかける結果にもなりかねない。
小泉農相が本当に守るべきは「園芸博」ではなく、日本の主食である「米」の自立的な未来ではないか。サクランボ片手の微笑ましいツーショットの裏に、重大な国策の岐路が隠れていることを忘れてはならない。