2025-06-18 コメント投稿する ▼
備蓄米の売り渡し拡大へ 小泉農相が外食・給食事業者も対象に 精米体制の実態調査も開始
備蓄米の放出、外食・給食業界にも拡大
コメの価格が高止まりするなか、政府が備蓄米の流通を加速させる方針を強めている。小泉進次郎農林水産大臣は18日夕方、記者団の取材に応じ、これまで小売業者に限定されていた備蓄米の随意契約による売り渡しについて、新たに「外食」「中食」「給食」の事業者も対象に加える考えを明らかにした。
「やっと外食も対象か。遅すぎるくらい」
「給食現場の苦しさを政府はもっと理解すべきだった」
現在、令和3年産の備蓄米12万トンのうち、11日から申請を開始した販売枠に対して、17日までに46社が1万8000トン超の申請を行っている。だが、これは上限には遠く及ばず、現時点では大規模な需要増にはつながっていない。小泉大臣は「いきなり何万トンも増える状況ではない」としながらも、「中食、外食、給食にもニーズがある」と述べ、販売対象の拡大に踏み切る方針を明言した。
新たな申請受付は21日(金)から開始される予定で、同大臣は「できるかぎり隅々まで随意契約の備蓄米が世の中に流れていくよう対応したい」と意欲を見せている。
“精米”がカギに 全国600業者を調査へ
ただし、備蓄米の安定供給には、現場の“精米力”が大きなボトルネックとなっている。随意契約の備蓄米は玄米で引き渡されるため、多くの小売事業者は自前の精米設備を持たず、卸売業者に委託する必要がある。しかし、卸売業者の中には精米能力に余裕のないところもあり、供給が滞る要因にもなっている。
「精米機持ってない業者が多いのに、玄米で渡すのがナゾ」
「米があっても精米できないなら意味ないじゃん」
このため農水省は、19日から全国の年間取扱量500トン以上のコメ卸業者約600社を対象に、精米設備の実態調査を実施する。調査内容には、令和4年から直近までの精米実績や精米設備の能力、稼働率などが含まれ、6月25日まで書面で情報収集を行うという。
小泉農相は「市場に流通するコメは精米済みがほとんど。精米能力を把握することが全体の流通状況の把握に直結する」と強調。今後は、卸業者の精米体制の強化を視野に、支援策を講じる可能性もある。
コメ高騰が続く背景と、政府の限界
現在、コメの高値が続いている背景には、天候不順による収量減に加え、輸送費や燃料費などの高騰もある。特に外食や給食業界では、食材費の上昇がメニュー価格に反映できず、経営を圧迫している。
「弁当の値段上げられないのに米代だけ上がるの、ほんと苦しい」
このような状況下で、備蓄米の流通拡大は一定の価格安定策として歓迎される一方、「そもそも備蓄米が本来持つ目的と逸脱していないか」という声も根強い。備蓄米は本来、自然災害や食料危機時に備えて確保されているものであり、平時の物価対策に使うことへの是非も問われている。
加えて、小泉大臣が語る「随意契約による迅速な流通」という構想も、現場の精米・物流体制が脆弱なままでは実効性に疑問が残る。
本質的な価格対策は“減税”による負担軽減
そもそも現在の物価高騰は、食品のみならず、エネルギー、物流、住宅と広範に及んでいる。部分的な補助や価格対策では、根本的な生活防衛にはならない。むしろ本質的な対策として求められるのは、「消費税の引き下げ」や「食料品の非課税化」といった、恒久的な減税措置による家計負担の軽減である。
給付金や補助金のバラマキでは、いつまでも対症療法から抜け出せない。米の値段が上がれば備蓄米を出す、精米できなければ卸に任せる——こうした場当たり的対応から脱却し、構造的な税制見直しと農業支援政策の再構築が不可欠だ。
「コメの備蓄を流すのは賛成。でも消費税を下げる方が手っ取り早い」
食料安全保障や安定供給を掲げるなら、抜本的な「税と規制の改革」こそが問われる時期に来ている。