2025-06-17 コメント投稿する ▼
小泉農水相が経団連と10年ぶり会談 企業の農業参入とデジタル化で成長促進へ
10年ぶりの官民会談、農業に構造改革の風
小泉進次郎農林水産大臣は6月17日、経団連(日本経済団体連合会)とおよそ10年ぶりに公式会談を行い、企業の農業参入を後押しする施策や、農業のデジタル化に関する具体的な協議を開始することで一致した。懇談会では、農地の集約化やスマート農業機械の開発、コメの流通可視化に向けたデータ連携などを中心に議論が展開された。
農業の担い手不足や高齢化が深刻化するなか、企業の知見と資金力を活用し、産業としての農業を再設計しようとする動きが本格化してきた形だ。冒頭、経団連の筒井義信会長は「持続可能な農業の確立は、経済界全体にとっても重要なテーマ」と述べ、官民の連携強化に意欲を示した。
「やっと農業にもビジネスの視点が入ってきたか」
「小泉氏はこういう時の調整力はあると思う」
農地の集約とスマート化で企業参入促進
今回の会談では、特に「農地の集約化」に焦点が当てられた。現在、日本の農地は高齢化した個人農家に細分化され、効率的な大規模経営が困難な状態にある。この点を是正するため、小泉農水相は「一定の経済合理性がなければ、企業の参入は見込めない」と述べ、農地利用の柔軟化や規制緩和に向けた検討を進める意向を示した。
あわせて、データ連携によってコメや野菜などの流通過程を可視化し、過剰在庫や価格下落を回避する仕組みづくりも協議対象に含まれる。加えて、衛星通信や5Gなどの高速通信インフラを活用したスマート農業機械の導入も今後の柱となる。
「流通データが可視化されれば農家も価格戦略が立てやすくなる」
「機械化の導入で“きつい・汚い・危険”の3Kイメージが払拭できそう」
中長期的な視野で農業の再生図る
経団連側は、農業が抱える構造的課題を解消するには「中長期的な視野」が不可欠と強調。筒井会長は「今後は農業の構造改革や食料安全保障の観点から、継続的な協議の場を官民で共有していく」と述べた。農業は災害や世界的な情勢変化に影響されやすい分野であり、持続可能性と安定供給の両立が必要不可欠だ。
農水省と経団連の連携は、今後「経団連農業活性化委員会」が中心となって実務的に進められ、規制改革や補助制度の見直し、法人化の支援なども議題に含まれる可能性がある。官民連携による農業モデルの刷新が、国の根幹である食料政策の安定にどう寄与していくのか、今後の成果が注目される。
「やっと“農業=衰退産業”という呪縛を壊す段階に来た」
「補助金より、減税と規制緩和の方が企業は動きやすい」
本当に必要なのは「減税による経済合理性」
農業の活性化において、補助金や一時的な支援よりも、減税や制度改革によって企業が自律的に動ける土壌を整えることが求められている。例えば農地取得や設備投資に対する税制優遇、農業法人の設立支援など、税制面での後押しは今後の議論の焦点となるだろう。
小泉氏は「企業参入を阻んでいる壁を一つずつ崩していきたい」とも語っており、規制改革と減税による経済的インセンティブの両立が、持続可能な農業モデルの実現に不可欠である。
政府はこれまで、農業に対して「保護」と「支援」に偏った政策を続けてきた。しかし今求められるのは、農業を国家的な成長産業として捉え直し、官民の知恵と資源を統合する戦略である。